現場仕事当時から歳月は過ぎ、
営業職当時の夏。
再び青森へ出張へ行った。
午前中の契約が無事に取れて、
それから翌日までは、アポが
なかった。
業者さんと時間も余ったので
陸奥湾ドライブでもしようかと
いう事になり、湾岸沿いを走った。
有名な浅虫温泉を通り10~20分位
過ぎたあたりに小島が見える。
「貸しボート」という看板が目に入った。
貸し釣り船屋さんだった。
手漕ぎボートで釣りをしている人達が見える。
海は穏やかで、プールのように
波が無い。
車に同乗していた業者さんは
モーターボートを所有している人で
仙台ではよく、その船に乗せてもらい
ルアーフィッシングを楽しませてもらっていた。
「こんな内湾で、そんなに釣れるものか」
と二人は思った。
僕らの概念ではモーターボートで
仙台湾を30分くらい外洋に走らないと、
そうそう大量の魚は釣れない。
手コギボートで釣れるとしても、
小魚がチラホラだろうと思ったが、
日もまだ高い。
なにしろ、ヒマだ・・。
ダメモトで貸し船屋さんから船とチョイ竿を
借り、ボートで漕ぎ始めた。
まぁ、釣れなくても天気はいいし、
陸奥湾で手コギボートってのも
なかなか経験できる事ではない。
5分ほど漕いだあたりで
釣り糸を垂れる。
「はっは、釣れたりして・・」
と言うか言わないかのうちに
ブルンブルンとアタリがある。
リールを巻き上げると30センチ位の
カレイがかかっていた。
すると、同時に業者さんの竿にも同じくらいの
カレイが・・。
「はっは、こんな事もあるんだね・・」と
また釣り糸を垂れる。
1分もしないうちに、また釣れる・・。
そして、続々と魚は釣れ続けた。
ダメモトでボートに乗ったので、
釣った魚を入れる網やクーラー
は用意していなかった。
ボートの中は、
あっという間に魚だらけとなる。
せまいボートの上で魚達が
パタパタしている
状態での釣りとなった。
基本的に
キャッチ&リリースはしない主義だ。
一度、針掛かりした魚は、
口に傷がつき補食できずに
死んでしまうケースが多い。
ただの殺生となってしまう。
ついにボート上で、
僕らの居場所は無くなった・・。
「こ・こんなはずじゃ・・。」と思った。
想定外・・。
陸奥湾の魚影、恐るべし(汗)
一度、陸へ引き返し、車の中で
魚を入れられる、「なにか」を物色した。
見当たるものは僕の営業用
ショルダーバッグだけ。
仕事で来ていたので車内に
釣具は一切無い。
衝動的に営業バッグの書類をザザっと
車内に出し、ボートへ戻って魚をバッグに
次々と入れた。
そして、また海へとコギ出した。
この時点で釣った魚を営業バッグに
入れる男は日本で僕、
只一人だっただろう。
その後、入れ食いが続き、
営業バッグは魚でパンパンになった。
ボートを貸し船屋さんに返し、
予約先のホテルへ
帰る途中、次の問題にぶつかる。
バッグ内の魚をどうするかだ。
捨てるという選択肢は無い。
ホテルはビジネスなので、当然
魚など調理してくれるはずもない。
業者さんと相談した結果、
青森市内の居酒屋さん、
どこかで調理してくれるところを探し出し
、そこで食べる事にしようと・・。
二人で食べきれる量ではないので、
余った分は店で御使用下さいと・・
以前ブログ投稿した、いぶし銀 さんが
快く了承してくれた。
自ら釣りたてのカレイの刺身。
唐揚げ。等等、店内で
陸奥湾の海の幸を堪能した。
しかし、車内の営業バッグを
翌日まで放置している訳にはいかない。
そのまま翌日に持ち越そうモンなら
車がナマグサくて壮絶な状態になる・・。
ホテルの洗車場で営業バッグを
丹念に洗う僕がいた。
バッグの魚臭さは簡単に取れる
ものではない・・。
結局営業バッグは
ビニール袋で幾重にも
厳重に封印し、翌日は
紙袋に書類を入れて
営業へ行く事となった。

