酒をやめようと決意し、
現在1滴も飲んでいない
僕が書くのもヘンな話だが、
焼酎は、もうブームではなく
文化として定着した。
しかも、昔のチューハイブームとは
異なり、ブランド焼酎の味そのものを
楽しむといったカタチとしてお酒飲みの
メインドリンクと言ってもいいほど
定着した。
丁度そのブランド焼酎ブーム到来
あたりの話なので7~8年位、前の
事だったと思う。
僕や下請け業者さんが、
ブランド焼酎にハマりはじめ、
「麦じゃ、もうモノ足りないよね」
「蕎麦もイケるよね」
「胡麻も結構!」
「やっぱり究極は芋かなぁ」
なんて会話が始まっていた頃。
お得意先の担当者Sさんは
ビール党で「えぇ!?焼酎のロックですか?
よく飲めますねぇ」と言っていた。
しかし、僕らの影響でSさんは
あっという間に焼酎の魅力に目覚めた。
Sさんは生真面目で温和な、とても
付き合いやすい人だった。
そして何かにハマると、それを
とことん調べる性分でもあった。
3ヶ月もすると、Sさんの焼酎知識は
僕らを遥かに超え、「焼酎博士」の
ようになっていた。
しかし、Sさんは幻の焼酎「森伊蔵」
を飲んだ事が無かった。
僕は以前に、あるきっかけで
一度飲んだ事がある。
「芋焼酎なのに、サラッと水のように入っていく」
といった印象だった。
ある日、Sさんと二人で
八戸出張の予定が入る。
僕は八戸を下見していた時、居酒屋で
「森伊蔵置いています」の看板を
発見していた。
そして八戸へ向かう途中
「Sさん、仕事が終わったら今日は僕に
森伊蔵をごちそうさせてください」
と言った。
Sさんは大喜びし、楽しみにしていた。
そしてまた、行く途中、高速インターで
日本酒の「にごり酒」をお土産として買った。
(普通、土産は帰りに買うものなのだが、
僕はよっぽど好きなのだろう・・。)
八戸へ着き、仕事も無事に取れた。
ホテルのチェックインも済ませて
まだ16:00。
間が持たない・・。
別な部屋のSさんに17:00頃連絡し、
「サクっと部屋飲みヤっちゃいますか」
と呼んだ。
Sさんは会社イチの酒豪で有名な人だ。
ニコニコしながら僕の部屋へ入ってきた。
その時点で「にごり酒」は土産ではなくなった。
と言うよりも、「土産」と称し
「仕事早く終わったら、飲んでけつかるぞ」
みたいなシタゴコロで買っていたのかもしれない(汗)
ポンとフタを開け、二人のコップへと注ぐ・・。
用意周到な事に僕は仕事先からホテルまで
の間に肉屋さんを見つけ、馬刺し迄、買っていた。
その「にごり酒」・・思いのほか辛口で
飲み口が良すぎる。
胃に吸い込まれていく感じだった。
「いやいや、思いのほか
入っちゃいますね~コレ」
なんて会話をしながら馬刺しをつつく。
味は濃厚!クセが無い!
まるで、この酒の為の肴として存在している
かのように相性が合いまくっていた。
たちどころに酒は無くなっていった。
この時点で、もう「サクっと」ではない。
1時間後、1升の「にごり酒」のビンは
カラとなり、馬刺しもキレイサッパリとたいらげた。
「さあ、では森伊蔵ですか!」と
コシを上げようとしたら
・・立てない・・(汗)
意識ははっきりとしているが、
下半身に力が入らない・・。
腰を抜かしたのだ・・。
初めての経験だった。
トイ面のSさんを見ると焦った顔を
している・・。
酒豪のSさんも腰を抜かしていた・・。
「にごり酒は腰を抜かす」神話は本当だった。
それでも、どうにか落ち着き
二人でフラフラしながら森伊蔵の店まで
歩いていった。
そこまでしても行くんかい。
というくらい
酒好きな二人だった。
店に着いた頃には腰から頭まで
酒がまわっていた。
森伊蔵1杯2500円・2フィンガー位だったか・・。
Sさんは「これがぁ!これが森伊蔵ですかぁ!」
・・と、興奮しながら20秒位眺めてからグイっと飲む。
S「やっぱり違います!
全然違います!!やっぱり森伊蔵です!!!」
感動していた。
1時間位その居酒屋にいたと思う。
そしてホテルへ帰って二人とも
早々と寝た。
翌日Sさんに森伊蔵の感想を
改めて聞く・・。
・・居酒屋に行った事すら覚えていなかった・・。
にごり酒・・ナメてかかってはイケない・・。
僕はもう、甘酒も口に入れないので
酒の今生の思い出として(笑)

