

ここに来るのは、まだ「S.E.A.アクアリウム」と呼ばれていた頃以来だった。当時は学校の遠足で、正直に言えば魚よりもギフトショップのことばかり考えていた気がする。
名前が「シンガポール・オセアナリウム」に変わったと聞いて、久しぶりにセントーサへ。目玉のサメの水槽もあるはずなのに、気がつけば私はクラゲの水槽の前に立ったまま、20分近く動けなくなっていた。
半透明の傘に散らばる、白い水玉模様。誰かが白いジェルペンで一つひとつ描き込んだみたいで、本物の生きものだと分かっていても、どこか作り物めいた美しさがある。
そして、彼らは「泳ぐ」という言葉が似合わない。ただ、ふわっと収縮して、ゆっくり漂うだけ。目的地も急ぎもない、その動きをぼんやり眺めているうちに、今週ずっと肩に乗っていた何かがすっと軽くなっていった。この一週間で見たもののなかで、いちばん心が落ち着いた瞬間だったと思う。
子どものころはギフトショップ、今はクラゲ。同じ場所に戻ってきて、自分が何に足を止めるかが変わっているのを知るのも、再訪の楽しみのひとつかもしれない。