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美咲ゆうのキュン♡をお届けします

美咲のきゅん♡が詰まっています
ぼーいずらぶにはまってしまった美咲の勝手な妄想をダダ漏れ公開チュ♡賞味期限が切れているので、注意してね☆

! ATTENTION!
この小説は、BL小説です。
不快に思われる表現が出てくるかと思われます。
BLにご理解のない方は、この先に進むことをお勧めしません。

これまでのお話はこちらから
# Prologue 
#1 #2 #3



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『恋心koigokoro ボクノオモイ… 』 #4



 カーテンの隙間から漏れてくる冷気が顔をかすめる。結露した窓からは、外の様子がうかがえない。
 ただ、その明るさから夜が明けたことは確認できた。

 人は肉体が精神を超えると痛みを感じなくなるというが、本当のことだった。
 まさか身をもって体験できるとは思わなかった。
 昨夜苦しくて、痛くて、どうしようもなかった身体が、すっきりと軽くなっている。昨日のことは実は夢だったんじゃないか……。と思ったが、鏡の中の俺の姿がちゃんと現実を突き付けてくれた。

 ひでぇーなぁ……コレ……。

 俺は素早く身支度を始めた。


 玄関を出ると、完全武装しているにもかかわらず、寒い。
 マフラーで口元を覆っているが、隙間から漏れる息が白く目の前を覆う。
 むき出しとなっている顔と耳に外気の冷たさが容赦なく突き刺してくる。そんな痛みも苦痛というよりむしろ快感に近い。

 

 教室に入ると、さすが期末試験とあっていつもと雰囲気が違う。
 互いに問題を出し合ったり、一人自分のまとめたノートを確認したりとそれぞれが試験に備えている。
 そんななか、一つの人だかりにがある。
 中心は克哉だった。
 英語の試験があるときは、もう恒例の光景だ。
 俺は自分の席に着くと窓の外を見るふりをしながら、意識は克哉を捕らえていた。


「よう」


 山川が軽く手を上げ自分の席に鞄を置くと俺の前の席に腰を下ろした。

「相変わらず、井上…モテるな~」

「そうだね」

 窓の外を見る俺の視線を拾うように山川が覗き込んできた。

「…お前…もしかして、一夜漬け?目の周り、ひでーぞ……あっ」

 山川は自分の口に手を当て目を一回り大きくして俺を見た。思いのほか山川の声は教室中に響いたが他人のことを気にする余裕なんで周りの連中にはない。

「ははっ……。俺、今回ちょっとヤバイからな…。オールはきついね」

 何とか苦し紛れのいいわけでごまかしてみたが……かなり厳しい。軽くなったと思った身体が急に重みを増してきた。
 山川は何か感じ取ったのだろう俺の肩を軽くたたき「あんま、無理すんなよ」といって席に戻った。

 

 

 

 試験も終わり、あとはライブまで練習に打ち込める自由の身となった。
 相変わらずあの日以来、克哉とは口をきいていない。俺の身体はぽっかりと穴が開いて、大切なものを落っことしてしまったようだった。
 こんな状態でも、日常は容赦なく落ち込むすきを与えない。むしろその方が気持ちと身体がバラバラであっても、まだやらなければならないことがあるだけマシって思えた。

 放課後練習に向かうと、部室には山川だけしかいなかった。


「ほかの奴らは?」


「ん。楽器屋に行くって言ってたから今日は、個人練習。っつても、俺らしかいねーけどな」


 山川はギターを磨きながら言った。
 練習がないのなら帰ろうか。と思ったけど、なんとなくそれは山川に悪いような気がして、無造作に寄せてある机に腰を掛けた。

 窓の外から久しぶりに活気づいた声がかすかに聞こえてくる。
 傾きかけた太陽が、部室内をオレンジ色に染めている。


「なぁ。井上となにかあった?」


「べつに……」

 いろいろと気づかれている山川に、こんな態度は無意味なことは分かっているが、俺の張りつめたプライドが虚勢を張る。


「普通じゃないだろ。あいつ女と別れたんだろ?なのに、お前のとこ来ねーじゃん」


「また、新しい子ができたんだろ。つーか、俺らいつも一緒ってわけじゃねーし」


 そういうと、ちょっと大げさに山川は大声で笑い出した。


「なっ…何がそんなにおかしいんだよっ」


「のじま~。おまえさぁ、ホントに自覚ねーの?それとも気づかれてないと思ってんの?まぁぁ…俺もだけど、メンバーの奴らもみんな心配してるわけよ。
 お前、ずっと泣きそうだったから。それにさぁ、ほら…あの曲だって…あれだろ。あいつのことじゃねーの」


「ちょっ…ちょっと待て。メンバーが気づいてるって…。はぁ?心配って何だよっ!」


 全身の毛穴から、ドッと汗が噴き出して、脈拍がどんどん加速していく。
 山川はそっと俺の両肩に手をのせ落ち着かせるような仕草をした。そして、自分の頭をクシャクシャとかきながら、俺から視線を外しポツリと語り始めた。


「これでもさぁ。俺ら2年近く一緒に同じ事してきてんじゃん。お前らすっげー仲いいし、なんとなーく気づいたわけよ。それに、お前自分の恋バナとかしねーし、あっ言えねーんだろーなって。佐伯達も最初は『ありえんだろ』なんて言ってたけどね。まぁー。お前の歌詞見たときさぁ、べつに普通なんじゃんって、……ただ…ちょっとツレーよなぁ……」


「普通とか、辛いとか…。何だソレ……」

 そんな…簡単に受け入れんなよ。

 認めてしまえば、溢れ出して止まらなくなる。体中が震えだして、腹の底から言いようのないものが這い上がって吐きそうになった。とっさに手で口を覆ったが、隙間から嗚咽が漏れる。
 目の前の山川がじわじわとぼやけた。


「わ…わりぃー。泣かすつもりじゃ…」


 あわてて俺の肩をつかむ山川に「お前のせいじゃない」と声にならない思いを込めて首を振った。
 山川の肩に体を預けた俺は、小さい子供をあやすように宥められた。


「俺、べつにお前のこと変とか思ってねーから。マジ人を好きになんのって、あんま理由とかねーし。だからさぁ、まえ野島にキスしたのも、泣きそうなおまえがかわいいとか思っちゃったのは、けっこうホントのことなんだよね」


 思わず顔を上げ山川を見た。


「悪かったな…。井上に誤解させて」


「いっいや…誤解も何も…アイツは…俺のことは……そういう対象じゃねーから」


 山川が突然グッ力を入れて肩を引き寄せた。


「い…痛っ。なに…」


「…っなぁ。ほんとにそう思っての?お前、ちゃんと井上に言えよ!」


 手首を強くつかまれて、振り払うことができない。

 克哉に言う?って……。あの女の子たちみたいにか?言ったところでどうなるっていうんだ。


 ガタン!!
 ドアを殴りつけつ大きな音がした。とその瞬間、体が弾き飛ばされた。


「痛ってぇ―――!」


 山川が大声で叫んでいる。目の前で大きな影が山川に覆いかぶさった。

 克哉――――!


「ってめーっ。なにしてんだよっ。ふざけるのもいい加減にしろよっ」


 ものすごい形相で克哉が山川に殴り掛かった。
 俺は背後から克哉を必死に抱え込み引き剥がそうとした。


「克哉―!克哉!何もしてねぇーよ。山川は何もしてねーって!」


 山川は倒れこんで切れた口元を抑えている。
 息が上がり肩を揺らす克哉は、咎めるような視線を投げつけていた。

 山川は起き上がり鞄を手に取ると、すれ違い際に克哉の胸にこぶしを当てた。


「あんときのこと、これでチャラな」


 山川はそう言うと一瞬笑顔を俺に向けて部室を出て行った。



 しばらく俺たちは黙り込んでいた。
 俺は、何か言わなければと思うのだか、何を言えばいいのかわからなかった。だが、この沈黙には耐えられず痺れを切らした。
 克哉は、俺に背を向けたまま、まだ握りしめたこぶしに力が入っているのか、腕を振るわせている。

「か…かつや…。……ご…めん」


とにかく、この間の事は謝らなければと思った。だけど、これ以上言葉が見つからない。

『お前、井上にちゃんと言えよ』

 そっか…肝心なこと避けようとするから、言葉がないのか…。
 あの時のことも…この想いも…。ちゃんと克哉に言わなきゃいけないのか。
 俺は、まっすぐ克哉の背中を見つめた。その表情は見えないが、決心が崩れてしまわないようしっかりと見据えた。


「克哉…。おっ…俺。お前に聞いてほしいことがある…。今度の金曜日のライブ…来てほしい」


「…言われなくても、行くつもりだったよ」

 振り返った克哉は、いつもの克哉に戻っていた。


「ライブの後……。全部…話すから」


「鳴海を待つのは慣れてるよ。…帰ろう?」


 俺たちは久しぶりに一緒に教室を後にした。




#最終話へつづく



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やっぱり、寝落ちしてしまいました泣 ゴメンナサイぺこり

読み返すたびに、手直しが入ってしまいます。
昨日やっとやっとこのお話、決着がつきました。(おそ~~

今日でこのお話最後までイキますので~ぷ ハート**
最終話は21:00~22:00頃アップします