鉄郵印関連で手に入れていたハガキです。陸軍軍人の桑木崇明(くわきたかあきら)から兄の陸軍大尉河崎崇義(かわさきたかよし)宛で、大正5年11月6日付の門司佐伯間(たぶん上り3便)の鉄郵印で引き受けられています。差出人のところに「耶馬渓鉄道車中」とあるので耶馬渓鉄道の列車に乗車中に書かれた便りなのでしょう。耶馬渓鉄道は郵便物を運んではいたのかもしれませんが鉄道郵便の取り扱いについては記録を見聞したことがありませんので無かったと思われます。このハガキは豊州本線(現在の日豊本線)の中津か別府の駅で投函されたものでしょう。
文面を要約すれば、(11日からの)大演習参加の前に耶馬渓を観光し、今夜(6日)別府に宿泊する、というところでしょうか。大演習とは大正5年11月11日から14日まで行われた福岡地方陸軍特別大演習のことでしょう。耶馬渓の絵葉書が使われています。
耶馬渓鉄道は大正2年12月26日に開業し、昭和20年に合併によって大分交通となり、昭和50年10月1日に廃止されました。開業時は軌間762mmでしたが国鉄との整合のため昭和3年から4年にかけて1067mmに改軌されています。軌間を変えれば機関車や客車も変えなければならないので経営上の負担はかなり大きかったでしょうね。
耶馬渓鉄道の絵葉書です。時代は不明ですが戦前のものということは確かだと思います。
耶馬渓は国定公園の切手にもなっていますね。