主人公は間もなく三歳になる女の子の母親です。

 

ある日、裁判所からの通知により乳児の虐待死事件の補充裁判員になることになります。

 

補充であっても、裁判には全日程出席しなくてはいけません。

 

検察側、弁護側、被告の女性の家族や友人、そして被告人本人の証言。

 

色んな人の証言を聞くうちに、主人公は自分の境遇にも重ねて、なぜ彼女が娘の命を奪うに至ったのか深く考えることになります。

 

 

 

一晩で一気に読み切りました。

 

夫や周りのサポートがあったとしても、思うようにならない育児にイライラすることは誰にでもあります。

 

オムツをかえてもお乳をやっても泣き止まない。

 

真っ暗なリビングで自分の方が泣き出したくなるような気持ちで、小さくて重たい命を抱えたまま途方に暮れる。

 

ママ友のところの子なんて、一度寝たら夜起きることなんてめったにないという。

 

なんでうちの子だけこんなに泣くんだろう。

 

この子はどこかおかしいんだろうか。

 

いいや、おかしいのは私の方かもしれない。

 

ああ…夫がもうすぐ帰ってくる。泣き止ませなければ。またダメな母親だと責められる。

 

お願い。泣き止んで。お願いだから。

 

 

主人公、そして被告人の気持ちには共感できたのですが、最後に何とも言えない後味の悪さが残りました。

 

小さいお子さんを持つ母親は他人事ではない話だと引き込まれると思います。