おさらいしよう!「放射能に負けない体」をつくるために
放射性物質はどんなふうにカラダに入る?
おさらいしよう!「放射能に負けない体」をつくるために…
2012/03/05
取材・文/柳本 操 イラスト/寺田久美 [日経ウーマンオンライン]
青菜や牛肉、魚などの「放射性物質の規制値超え」が相次いで報道され、食への不安が高まっている。自分の体はもちろん、子供たちや家族の将来的な健康を考えると、なんらかの対策を知っておきたい。洗う、ゆでるなどの下処理をすることで放射性物質を取り除いたり、アルギン酸やペクチンなどのように、放射性物質を排出する効果がある食品成分もある。有効な対策を組み合わせて、「放射能に負けない体」をつくろう!
どんなふうに私たちの体に入る?
内部被曝の経路とは
(A)放射性物質に汚染された空気、水、食べ物を人間が体内に入れることによって放射性物質がとりこまれることを「内部被曝(ひばく)」という。そのルートは、「気道から吸いこむ」「食品としてとる」「傷などから入りこむ」の三つがある。
(B)大気中に放出された放射性物質に加え、汚染水が海洋や海産物を汚染する。
(C)汚染された空気や水、牧草、飼料を家畜がとることによって、肉、牛乳、鶏卵などが汚染される。
(D)放射性物質を含む大気中のチリが雨水や風によって落下、農産物の表面に付着。土壌に蓄積した放射性物質は、根から吸収されて、農作物の内部に入りこむ。
問題となっている三つの放射性物質
原発事故の後、大気中に放出され、土壌や海水に広がった放射性物質。なかでも食品に入りこみ、体内への蓄積が心配される三つの物質を理解しておこう。
甲状腺に蓄積しやすい
ヨウ素
原発事故の初期に大量に発生し、ガス状になって空気中、農産物、土壌、水などに拡散した。体内に入ると消化管から吸収され、30%は甲状腺に蓄積し、がんの原因になるとされている。20%はすぐ排せつ、残りは短期間で排せつされる。物理学的半減期は8日、生物学的半減期は乳児11日、5歳児23日、成人80日。
全身の筋肉に蓄積する
セシウム
体内に取りこまれると全身の筋肉や生殖器に蓄積される。カリウムと似た性質を持つ。セシウム134とセシウム137が核分裂により生まれ、物理学的半減期はそれぞれ2年と30年、生物学的半減期はセシウム137は1歳までは9日、9歳までは38日、30歳までは70日、50歳までは90日。
骨に蓄積する
ストロンチウム
体内に入ると4.5~6%が骨に蓄積される。骨に蓄積する性質から「向骨性核種(通称ボーン・シーカー)」といわれ、白血病などの原因に。カルシウムと似た性質を持ち、カルシウムの摂取が少ないとストロンチウムの吸収が増加。物理学的半減期は29年、生物学的半減期は約50年と長い。
「生物学的半減期」=体内に取りこまれた放射性物質が排せつされ半分に減少する期間
原発事故後の暫定規制値はこれまでより高め
3月17日以降、食品に含まれる放射性物質の量について、国はグラフのように暫定規制値を決めた。この数値を超えた品目については出荷制限や摂取制限が行われている。ただ、この値はチェルノブイリ原発事故以降、輸入品について国が定めた規制値よりも緩い。
Profile
内田滋夫さん
放射線医学総合研究所
研究基盤センター長
農学博士。環境における放射性物質の分析を専門とする。特に土壌から農作物への放射性物質移行のメカニズムに詳しい。「事故から4カ月以上経過した今後は、土壌が汚染源となってくる。根菜類は泥をしっかり落とすこと。皮をむいてもかなり除去効果がある」。
白石久二雄さん
元・放射線医学
総合研究所
農学博士。同研究所緊急被ばく医療研究センター被ばく線量評価部内部被ばく評価室長を経て2010年に退官。在職時は食品から人への内部被曝研究に従事。「海藻やキノコ類は優れた成分を含む半面、放射性物質を蓄積しやすい性質を持つので注意したい」。公式サイト
。著書に『福島原発事故 放射能と栄養』
(宮帯出版社)など。
八並一寿さん
玉川大学農学部
生命化学科
水産学博士。除染食品の開発、未病対応食品の開発、ハーブを利用した補完・代替医療などを幅広く研究する。「身近な食品で、放射性物質を排出したり、放射線の害から守ったりすることは可能だと思う。子供にはペクチンが豊富な果物をしっかり与えるといい」。著書に『除染食品のすべて』
(泉書房)など。
日経ヘルス 2011年9月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります






