モンデックスとクレジットカード -7ページ目
カードを偽造する場所について触れておこう。

ひと昔前までは偽造工場(通称「ボイラールーム」という)は、アメリカではロスとマイアミ、東南アジアではマニラ、香港、バンコク、クアラルンプールなどの都市に限られていた。

旧西ドイツと日本がカードデータの2大供給基地で、出来上がった偽造カードを外国人が日本に持ち込む、というのが一般的な構図であったが、その後、日本でも関東、福岡、札幌などで偽造工場が摘発されるようになった。

かつて、香港で偽造工場を急襲する香港ロイヤルポリスの刑事たちに同行した映像を見た。

ビルの地下にある殺風景な小部屋に裸電球がぶら下がり、あるのは机と椅子、電話機とFAXだけ。

エンボッサー と生カードなどが散らばり、室内はもぬけの空であった。

手入れがいつ察知されたのか不思議であるが、犯人の逃げ足はきわめて迅速、との印象がとにかく強かったことを覚えている。

ところが、最近は前述の構図に変化が生じてきている。

1980年以降、主要全国紙に報道されたわが国におけるカード等の偽造事件の主なものを年代別にまとめたものである。

これによると、80年代から90年代初めまでは、国内で摘発された偽造事件は、コンピュター技師などによる愉快犯的な偽造に限られていた。

しかし、その後90年代後半に入ると、カード、商品券、回数券、ギフト券、収入印紙などの偽造事件が急増している。

偽造工場は、国内外の混合型となってきた。

99年に入ると、国内での偽造活動が暴力団の絡みもあって、さらに活発化してきたことはご存知のとおりである。

なお、97年は香港が中国本土に復帰した年である。

同地で暗躍していた香港マフィアや福建省の蛇頭などのグループが、中国警察の取締りを避けて各地に散らばっていった。

この分散化がわが国における97~98年頃からの偽造活発化現象の一因となっていると見ている。