メシアン自ら台本を書き、8年の歳月をかけて完成させ、1983年に初演された畢生の大作です。
⑤映像化されているのは2008年のアムステルダムでの舞台上演のメッツマッヒャー盤。日本語字幕はありません。こちらもオススメですが、地味なオペラ(はたしてオペラと呼ぶべきかも微妙で、演出付きのオラトリオと言ったほうがいいかもしれません)だというのがよくわかります。
メシアン存命中に小澤征爾さんによる抜粋での演奏はありましたが、全曲は初めて。演奏会形式ですが画期的な事だと思います(内容からは舞台形式でも演奏会形式でも大差ないです)。
今回の演奏はフランスを代表する指揮者シルヴァン・カンブルランさんと読売日本交響楽団です。演奏会はサントリーホールで2回、びわ湖ホールで1回の合計3公演です。カンブルランさんはメシアンを得意としており、管弦楽作品のほとんどを録音。また読響でもすでに『トゥーランガリラ交響曲』や『彼方の閃光』といった大作を取り上げています。
私も2004年に、パリ・オペラ座(バスチーユ)でこのオペラを観ました。パリでは3度目の上演で、その時もカンブルランさんの指揮でした(これが観たくてわざわざパリに行ったのでした。チケットをネット予約して、当日受け取るまでドキドキでしたね)。
聖フランチェスコは初演と同じホセ・ファン・ダム、天使はクリスティーネ・シェーファーでした。
オペラと聞いて一般的にイメージするような動的な印象はほとんどありませんでしたね(後述するDVD、あるいはYouTubeの動画などを観ていただければよくわかります)。
パンフレットです。左は1992年のザルツブルク音楽祭。初演に次ぐ舞台上演で、ロサンゼルスフィルとパリ・オペラ座の共同プロジェクトでした。音楽祭ではエサ=ペッカ・サロネンが指揮。オペラ座ではカンブルランさんが起用されました。
右が2004年のパリ・オペラ座(バスチーユ)での公演です。
大規模な合唱とオーケストラの編成(総勢約300人)で演奏時間は正味4時間以上の大作。これまでの演奏会数は決して多くはありませんが、20世紀後半のオペラが何度も再演されていることのほうが驚きです。
三幕八景で構成され、内容は回心後のフランチェスコが精神的に高みに登っていく過程を描いていきます。敬虔なカトリック信者のメシアンならではの題材だと思います。
こんなゴツいオペラですが録音も複数あります。初演の小澤征爾/パリオペラ座管弦楽団盤、たぶん一番メジャーなケント・ナガノ/ハレ管弦楽団盤、DVDでインゴ・メッツマッヒャー盤、抜粋ではツァグロセク盤がディスコグラフィに並んでいます。
①1983年初演の小澤征爾盤。当時はこの録音しか無かったのでよく聴きましたが、聴き比べができるようになると、キレが今ひとつという感じです。国内仕様盤は箱入りでした。
③1986年のあまり知られていないケント・ナガノの最初の全曲盤。
メシアンに推薦されて初演から関わり、作品を知り尽くしているケント・ナガノの演奏会形式による一連のヨーロッパ公演からのライブ盤です。
④1998年のザルツブルク音楽祭からのライブ盤。ケント・ナガノ2度目の全曲盤で、今のところこの曲のベスト盤だと思います。より洗練されたきびきびとした演奏が心地よいです。国内盤も出ていました(今は廃盤)。グラモフォンのメシアン全集にも入っています。近年の主だった公演は、2011年の物議を醸した演出(YouTubeに動画がありますが閲覧注意です)が話題になったミュンヘン公演(バイエルン国立歌劇場: ケント・ナガノ指揮)、こちらも大がかりな舞台装置が注目された、同年のマドリード公演(マドリード・アリーナ: シルヴァン・カンブルラン指揮)などでしょうか?
というわけで、こちらも演奏会まであと2ヶ月半くらいと迫ってきました。
チケットはすでに完売しております(一般発売後数時間で完売なんて、ビックリでした)。注目度の高い公演ですね。
13年ぶりの生アッシジ、待ち遠しいです。