大岡さんといえば『折々のうた』がもっともポピュラーでしょう。長期の新聞連載だったため、多くの人の目に触れ、代名詞のような仕事だと思います。
たとえばそれは武満徹さん(心の師であるシュールレアリスト瀧口修造さんと大岡さんが近いところで活動していた影響か)との共同制作である、ソプラノとオーケストラのための『環礁』の書き下ろしの詩であるとか、武満さんが大岡さんの詩の一節を用いたりした『A String Around Autumn』(英詩集『秋をたたむ紐』より)や『From me flows what you call Time』(「澄んだ青い水」より)、連詩『揺れる鏡の夜明け』など、また学生時代に合唱で歌った木下牧子さんの合唱組曲『方舟』といった作品を通して、大岡さんは意外と身近な詩人というイメージでした。
大岡さんは学生時代にエリュアールにも傾倒したとのことで、プーランクを通してこの詩人に馴染んでいる私としては、大岡さんの詩が取っつきやすいものであったのかもしれません。
前述の『揺れる鏡の夜明け』をはじめ、積極的に取り組んでいた連詩というジャンル。私の手元にも『ファザーネン通りの縄ばしご』(1989)というカセットブックがあります。四人の詩人の共作で、これには「ベルリン連詩」という副題がついており、これは作曲家の一柳慧さんが交響曲に用いました。一柳慧さんと大岡さんも数々のコラボレーションがありますね。
残された作品を読んで故人を偲びたいと思います。


