今年は作曲家の安部幸明先生が亡くなられて10年のメモリアルイヤーでした。
しかし、武満徹さんや柴田南雄先生の陰に隠れて、あまり目立った動きが無かったのは残念でした。
安部幸明先生は1911年(明治44年)、広島生まれで、同世代の作曲家には清水脩さんや指揮者として有名な山田和男(一雄)さん、高田三郎さん、伊福部昭さん、早坂文雄さんなどがいらっしゃいます。
東京音楽学校でまずはチェロを学び、その後作曲をプリングスハイムに、指揮をローゼンストックに学びました。
作曲活動の他には大学で教鞭をとったり、広島交響楽団の指揮者としても活躍されました。
作品は基本的に調性原理に基づいたもので、代表作は3曲の交響曲(シンフォニエッタを含む)と、やはり15曲にも及ぶ弦楽四重奏曲でしょう。
作風としては、伊福部作品に見られるような民族主義的な傾向はなく、ドイツの伝統に基づいた西洋音楽の流れを受け継いでおり、そのため現代音楽界隈では軽視される傾向にあったのも事実です。
そろそろ再評価されても良い頃なのでは、と思います。
しかし、NAXOSから代表的な管弦楽作品のCDが出ている以外はほとんど音源もなく、なかなか作品に触れる機会が少ないのが難点です。
収録作品:
1. 交響曲 第1番
2. アルト・サキソフォンと管弦楽のための嬉遊曲
3. シンフォニエッタ
私もかつて(20年以上前)NHK-FMの邦人作品を特集した番組で聴いて興味を持ったのですが、その後あまり作品を聴くチャンスがないまま、先生は逝去されてしまいました。
演奏会プログラムより
演奏作品:
1. オーケストラのためのセレナーデ
2. オーケストラのための交響的スケルツオ
3. 弦楽のためのピッコラシンフォニア
4. 交響曲第2番
こういう演奏会はなかなか開催できないと思うので、ぜひCD化して欲しいものです。
その他では、カルテット・カノーロによる弦楽四重奏曲全曲演奏会がミッテンヴァルトの主催で進行中で、昨年までに第1番から第3番までが演奏されています。いずれは全曲録音の音源が出るのではと期待しています(いつのことになるのやら)。
カルテット・カノーロは、2003年に第8番と第14番を演奏しており、同じ演奏会で取り上げられた『アルトサキソフォンとピアノのための嬉遊曲』とともにCD化されています。
こういう企画は嬉しいですね。
収録作品:
1. 弦楽四重奏曲 第8番
2. アルトサキソフォンとピアノのための嬉遊曲
3. 弦楽四重奏曲 第14番
楽譜も出版されていますので、弾いてみるのもいいかもしれません。
収録作品:
1. やさしいこどものピアノ曲集「夢の世界」
本当に少しずつですが、作品に触れられるようになってきているのは、喜ばしいことです。
ご本人に関する資料が少ない中で、現代日本の作曲家シリーズの一冊は、ご存命中に出版されたもので、伝記的な部分も作品リストなどもたいへん参考になります。
今後、もっと作品が演奏されていくといいなぁと思います。









