「なぜか印象がよくなるすごい断り方」津田卓也

 

 

私は断れない女です。

身内や仲のいい人にはわりとわがままなのですが、信頼関係のできていない外の人に対してはいい人ぶってしまい断るのが苦手です。一度はだいたい「あーちょっと予定が、、、」みたいな感じでやんわり言ってみるのですが、それでも押してこられるともうめんどくさいのと断るのがストレス過ぎてOKしてしまいます。あーもう私の時間もってけ泥棒!みたいな感じです。

 

例えば最近・・・

・会社に来ている保険のおばちゃんの懇願に負けて契約する気もないのにランチがてら話を聞いてしまった。

→せっかくのランチ時間が台無しだとやや不機嫌になりおごられて借りを作るのも嫌なので1000円札おいて帰ってきました。

・友達から紹介された男子とご飯に行き、2度目のデートは行きたくなかったけど、初デートで美味しいごはんをおごってもらったので悪いなと思いしかも話の流れで遊園地的なところに行ってしまった。

→行ったが故に期待させてしまったあげく、どうしても楽しめなくて途中で体調不良を装って帰ってきました。

 

はい最低です。いい子のふりをしても実際全然いい子じゃないので、保険も契約せず、その男子と付き合うわけでもないので、結局誰も得しない!みんなが時間を無駄にしただけだったわ!!と気づき自己嫌悪に陥りました。

他にも、ほんとに断れないが故にもう二度と思い出したくもない事をしてめちゃくちゃ後悔したので、もうこれはいいかげん断れる人になるしかないと決意してこの本を手に取りました。

 

前置きが長くなりましたが、この本には断れない人が断れるようになるために必要なことの全てが詰まっています。ひとつも無駄じゃない全4章構成はこんな感じです:

 

第1章:まずは思い込みを捨てよう

→まずはメンタルから、ということで断れない人にありがちな思い込みーー

例)断れないのはそういう性格だからだ/断らなくてもなんとかなる/断ると人間関係が悪くなる/断らずに何にでも応えることで人は成長できる など。

これらをひとつひとつ検証していきます。かつては重度の「断れない人」だったという著者自身(断れないことによる激務で体を壊し、一般企業を退職。現在はクレーム研修講師。)の体験が盛り込まれているため説得力があります。すぐに100%納得するのは難しくても、自分にはこういう思い込みがあって、こういう考え方もあるのか、なるほどー位の気持ちになれます。

 

ちなみに、私にすごくささったのは「断らずに何にでも答えることで人は成長できる」というもの。私は自分のやりたいこともわからないしなまけものだし出不精だという自覚が大いにあるので、誘われた時はイエスマンなみにのっかるというのを基本スタイルにしていました。なので、運動も魚も苦手なのにダイビングの免許も車の免許も取ったし、色々なところへ旅行に行ったし、仕事の上でもこのスタンスでいることで自分が大きく成長できたと実感があります。だからこそ、断ると自分の世界が狭くなるんじゃないかとびびっている気持ちがあります。

著者はこの「思い込み」に対し、要約すると「たしかに人生には断らないことで成長できる時期がある」とした上で「断ることは別の何かを選ぶことであり、断ったことで得られる別の何かがまた自分を成長させてくれる」と述べています。

なるほどね、と。

 

第2章:印象がよくなるすごい断り方の基本7ルール

いよいよ実践編ということで、断り方の基本ルールが載っています。まずは基本の、「感謝→結論→感謝」要は「誘ってくれてありがとう。残念だけどなんとかだから行けないんだ。でもありがとね!」みたいな型を覚えること。そしてそれ以外の基本ルール「名前を呼ぶ」「気持ちと事実を交互に」「理由の付け方」などをいくつか必要に応じて足していくという感じです。1つ1つは説明されるとそうだよね、というシンプルなものですが、うまく断れない人は実践できてないことが多いと思うので勉強になります。

 

第3章:手強い相手の対処法

応用編として基本の断り方では引き下がってくれない相手への対処法が載っています。「戦うのではなく相談する」「正しさを押し付けない」「質問を駆使する」などなど。ここは強敵への向き合い方の基本姿勢やテクニックが載っていて勉強になります。個人的に、こちらがやんわり断ったつもりでもけっこうゴリ推してくる人は世の中にいるなーと感じるので(多分私が押したら行けそうなオーラを出しちゃってるんだとも思うのですが)一読するだけでも参考になります。

 

第4章:断るか、断らないかはどうやって決めるのか

最後に断るべきか迷った時のポイントが載っています。「あなたの人生の優先順位は?」「断らなくてもどうせ嫌われる」「時間をもらう」など。

 

 

まとめとして私の思うこの本の素敵なところは

・「断われない人」にマインド面(1・4章)とテクニック面(2・3章)の両方が書かれている

→どちらかに偏るのではなく、両面からしっかりとアプローチする内容になっている。特に1章の「思い込み」のところはページ数も多く割かれていて、断れない人にはここだけでも非常に参考になると思う。

・著者の言葉に説得力と人間味がある

→これは、私の主観になっちゃうのですが、盛り込まれている体験談や言葉がなんだかとてもリアルに感じる。マインドの話のところでは、絶対こう、と言いきるというよりも私はこういうことがあったしこういう考えもあるんだよ、くらいの感じで押し付けない感じがする。もしかしたら「断れない人」だった、ある意味人の気持ちを考えられる優しい人だった著者だからこういう風に書けるのかもしれないな、と思いました。

 

類書もいくつか読んだけど、個人的にはこの本が一冊あればよいかと思います。あえて難をあげるとするなら、表紙とタイトルがぼやーっとして印象に残りにくい気が。めちゃくちゃいい本なのにもったいない。まあ、そこは好みなのかもしれないけど。

 

とにかく、「断れない人」で、これでいいのかなって思っている人に心からオススメできる本です。

 

おやすみなさい♪