矢野香「たった一言で人を動かす 最高の話し方」ブックレビュー

 

■内容

「間」をうまく使いこなすことができれば、どんな話し方でも「最高の話し方」に変えることができる。

それによって、一方通行だったコミュニケーションが聞き手がリアクションを示すようになり、双方向のコミュニケーションが生まれる。

間の重要性や、間の種類、間の使い方、間を作るための方法まで、様々な実例をもとにしながら説明している。

 

■覚書

 

「間の種類」

①強調の間

肝になるフレーズを言う前後に間をあけ、ゆっくり強調したい言葉を続ける

結論の前後にも間を入れ、結論を結論だとわかりやすくする

※結論から話すことは話し方のキホン

 

②準備と余韻の間

話し始める前ゆっくりと全体を見渡し、間を入れると聞き手がしっかり聞く準備ができる

拍手などの反応のあとには落ち着くまで待つ。

話手が間をとると必ず拍手が起きる、このような両者でつくるリズムができると会場の一体感が高まる。

最後の締めの言葉の前に間をとる。そうすることで話が完結し相手の記憶に残る効果がある

スピーチが終わった後も観客に余韻を与えるくらいの間をもってから檀上から降りる

 

③考えさせる間

「質問はありますか?」のあとにきちんと間をとり考える時間を与える

質問ではなく語りかけでもOK。

聞き手に自分ごとのように考えさせ、共感を抱かせたり、もっと知りたいと思わせたり、期待度を高めたりすることができる。

 

④話の転換の間

一つのことを話終えたら、間をあけて次の話題に移る。これで利き手は話の整理ができ、わかりやすくなる。

 

⑤聞き手を味方にする間

会場にいる誰か特定の人物を紹介すると、観客との距離感が一気に縮まるような演出ができる

 

「間の長さ」

①ショートの間(長さ1,2秒)

商談など1対1で話しているときや大勢でのスピーチでも一人ひとりに語りかけているように聞かせたいときに効果的

②スタンダードの間 (長さ3秒)

相手に考えさせて言葉の意味が浸透するには3秒以上かかる

質問する、謝罪する、然る、ほめる、励ます、感謝するといった感情を伴う場面に適している

③ロングの間(長さ5秒)

聞き手が大勢の時、またはあまり話を聞く気がない方がいる場面に適している

話し始める前や重要な言葉の前後でロングの間をとると注目してもらえる

 

「ノンバーバルでの間の作り方」

①資料をそろえる、めくる

②水を飲む

③ホワイトボードに書く

④資料や商材を鞄から出す

⑤檀上で歩く

なにかの動作をすることであえて不自然でない間をつくることができる。

 

「焦らず無言の間をつくるための方法」

①やまびこ法

直前に発した言葉を心の中で繰り返す

②呼吸法

深呼吸→いち→深呼吸→に…と呼吸と合わせて心の中で数を数える

③リアクション法

聞き手のリアクションを確認する

 

「わかりやすい話し方にするための、一文一息」

一文一息はワンセンテンスを一息で息継ぎせずに話すこと

聞き手にわかりやすく、力強く話すためには一文をなるべく短く(50文字以内)して一息で話すスキルが必要

一文ずつ明確に区切るため、緊張せず堂々と話しているように見える

文末の「思います」などの不要な文末は削除し言い切るようにする

PREP+LP(Point/Reason/Example/(Point)/Passion/Let's/Please)で理路整然と話すことも大切

「えー」「あのー」などの無駄な言葉もなくす

 

「聞くときにも役立つ間の使い方」

話を聞くときにも相手の息を読み、間をコントロールしながら合いの手をうまく挟める方がその場の主導権を握る

話し手が困った相手でも、息を読み、同じリズムで合わせることが大事。

話が長い相手や早口の人、話がずれる人には、ちょうど息が切れるところで相槌や言葉を挟んだり、

無口な人、口が重い人の場合には、時間をかけて返答を待ったりする。

 

「大事なポイントの3つのまとめ方」

ポイントをまとめるときは1or3つor5つくらいの奇数がいい。

たくさんある場合は、「10のうちたった一つの大事なこと」とその中の一つを伝える

大事なことが3つあるとすれば、1つ目に2番目に大事なことを掴みとして面白いことを話し、

2つ目に優先順位の低い内容をサラッと短めに話し、3つ目に一番大事なことを時間をかけて話す。

3つの重要度が同じであれば3つを毎回繰り返す

例)大事なことは3つ。体力、気力、辛抱強さです。まず一つ目は体力で~。2つ目は体力、気力辛抱強さの気力です~。

 

 

感想

話し上手になるためには間を作ることが大切、という当たり前のような内容だが、

実際に自分が間を作っているようで作れていないこと、いかに無駄な長い言葉を話してしまっているかを再確認させてくれた。

うまく使えない人のためにノンバーバル法ややまびこ法などあえての間の作り方を提案しているところが実用に使っていかれると思った。

この本は、エッセンスとしての間の説明をしているので、話し方のキホンについてのベーシックな本を読んだあとに読んだほうがいいと思った。

しかし、間とは結局、相手の反応をしっかり見て、相手が何を考えているのか、どうしたら自分の言いたいことが伝わるのか、相手の立場にたった考え方、話し方ができなければつくることができず、それが出来さえすれば、細かい間の作り方の方法についてのレクチャーなど必要ないと感じた。