ひと / 小野寺史宜
まるで日記を読んでいるみたいだった
主人公の青年の心に浮かんでくる言葉を
そのまま書き留めたような文章となっていて
感情や成長を表現している
分量も多くない
その文体が僕自身の心の声とシンクロしていき
気がついたら読み終わっていた
父親に続いて短期間の内に母親が亡くなり
大学を辞めることになった青年の話
変わらざる得ない生活の中で
新たな出会いや再会を通して
自身が見つけた進む道
その決意を確認していく
父親が生きた道を辿ることで・・・
血縁を失い独り身になることが
深い孤独を必ず感じるものと
小説にそれなりのドラマを求める方には
物足りなく感じるのかもしれない
孤独であることを理解しきれないままなのか
そもそも血縁を失うことは孤独なのか
上手く言い表すことができないけれど
挿木を土に埋め
根が出るまでの間のストーリー
切り落とされた枝が根をはるまでの話は
ドラマはなく飄々としている
主人公の渇いた心情の序盤から
徐々に変化していく様を
落ち着きのない短めのテンポから
少しずつ変えている
最後まで主人公の視点から話されている
それで日記のように感じてしまうのか
人の心の中をのぞき見たような小説
活字が苦手と公言する方におすすめです
| ひと [ 小野寺史宜 ]
1,650円
楽天 |
