彼の
鼠径ヘルニアの
手術跡



一緒にお風呂に入って
彼の身体を洗いながら

お腹の傷を見る度に



まだ痛い?


と聞いてみる


そのたびに


うん
痛いこともある


今は痛くないで


普通にしてれば
大丈夫




・・って
答えていた彼






ここんとこ何回かは



会って、身体を重ねる時も



特に痛そうな素振りは
見えなかった




だから


黙っているけど
少しずつは
良くなってるのかな…



って
思ってた




先日

手術した病院で
紹介状を書いてもらい、


自宅から近い
S病院に転院したのだけど






診察を受けたら



「五月に手術して
まだ痛いとなると


たぶんもう
治りませんね・・・




・・って
言われたんだそう( ̄ー ̄;





彼を手術した病院では



すぐには治らないけど
少しずつ良くなるでしょう…



って言ってたのに。


医療ミスしたもんで

噓ついてるんだろうか(´・ω・`)



もう、
何もかも
信じられないよ・・・・






で、S病院でも
薬は結局、元の病院の処方と
変わらないらしい



この薬も
彼には合わなくって



目まいやフラつきが
出るからと言って


今はほとんど飲んでないらしかった







彼から
急に連絡があったのは
水曜日





りるら

明日は何かある?


道場の先生に

“もう、痛みが
治らないらしい”って

相談したら


「K病院に
行ってみたらどうか」って


「北陸で一番の
病院だから


そこで同じこと言われたら

もう、諦めるしかないだろう」って



それで、
◯◯病院に
電話かけて聞いたら、

本当は紹介状無いと
診察してくれないけど

鼠径ヘルニアだけは
無くても診てくれるらしいわ


明日、朝から予約してもた


りるらとまた

病院デート
できるかな







びっくりした





そして、
自分が、彼の痛みに


まったく無頓着だったことが
急に恥ずかしくなって



久々の

自己嫌悪(TωT)





このまま
痛みが消えないかもしれない…




聞いて


私は



そんな・・


なるべく

仕事のお休みの日には
薬飲むようにできないの?

少しずつでも
良くなっていかないかな…



って答えてた





ごく簡単な手術のはずが



私が通いやすいように

私の家の近くの病院を選び


そのために

医療ミスに遭い
後遺症が残ってしまった彼









こんな不条理なことが
あるなんて…



と、悲しく腹立たしかったったけど



自分がそうだったように



手術後の痛みって

ある程度は、あって当然だ・・

と思ってたから



結局は

長い目で
見なきゃ
ダメなのかな・・・


って、
諦めの気持ちも
あった





でも、思うに
彼は



よくなるものなら
再入院も
再手術もいとわない




って
そのくらいの
気持ちでいたんだよね




そこまで彼が

辛い思いをしてたことに



気付いてあげられなくて

ごめん



私のせいで

あんな病院を

選ばせてしまったことも


ごめん





彼が言っていた
K病院は


私の家から
車で30分弱





翌日の
病院デートは



土砂降りの中

凹んだ気持ちのまま

彼に会うことになった





彼より40分ぐらい遅れて

病院に着いて



受付を済ませた彼の待つ
外来棟に向かった




ここに来るのは
15年ぶりくらい


昔の名残が残る
古くて陰気な建物と


新しく立て直した
近代的な診療棟が

細長い
クネクネした通路で
繋がっていた



受付の前で
キョロキョロしていたら


私より早く

彼が私に気付き
迎えにきてくれた





並んで、診察室の前に座り

久しぶりに
彼の顔を

明るい場所で見た






ここで診てもらって

どうしようもない、っていわれたら


今度こそ
もう諦めるわ



ここが、このへんで
最高の病院らしいから



敷居が高そうやな
ここ






・・・うん


ガンの治療で
有名だしね


ここに来るのは


結構、大変な
病気の人ばっかり・・・

っていうイメージがあるよ







話しながらも


「ごめんね」


って言葉が


どうしても言えなかった



心の中では


ごめんなさい

ごめんなさい




・・って


何度も
シミュレーション
してたのに





言っても彼は

きっと


何が?





・・って聞くとは
思うけど・・






待合室には
ほとんど人が居ないのに



なかなか名前は呼ばれなかった





私たちの前を

80は越えてるであろう
おじいさんと

おじいさんを支えて歩く
おばあさんが



ゆっくりゆっくり
通り過ぎるのを


2人で無言で見送ったあと



彼が




あれくらいになるまで


ああやって2人で
一緒にいたいな







って

私の耳元で
囁いたけど




うん





・・って答えるのが


精一杯だったよ







1時間弱待たされて

ようやく
彼の名前が呼ばれて



彼が診察室に
消えていった




そして今度は

なかなか出てこない彼を



一人で待った




どんな顔して

出てくるんだろう







きっと

がっかりして

出てくるんだろうな




せっかく

仕事休んで

半日潰して



紹介状もないから

2千600円

余計に取られるらしいし・・・









ボーッと
考え事していたら




彼が出てきた




笑ってた




採血せなあかん



・・っていう彼に促され


あわてて立ち上がり


彼の横に並んで
歩きながら話した




ええわ

あの先生




ほんと




うん


あのな

S病院での所見と
診断書見て


俺の話詳しく聞いてくれはって


長いこと
黙って
考えてはってな




んで

「難しい手術だけど

やってみる価値はありますね」


って

言わはったわ






・・え


じゃあ







再手術して

「完全に治るとは

断言できないけど



◯◯さんの痛みを

治してあげたいし



再手術して

メッシュを
取りましょう」て



はっきり言ってもらったわ


初めてやわ



今まで


誰に聞いても

「癒着してるから再手術は無理」って

言われ続けたしな


若い先生やけど


「僕が執刀します」ゆうとった



腕あるんやな

きっと






えええええええええ( ̄□ ̄;)


再手術????


するんだ?????





絶句したよ




「難しい手術」





・・って言葉が




グルグル頭の中を

回ってた





りるら

入院したら



また来てくれる?





うん


うん





こんなときも


私ってば




うなずくだけが

精一杯なんだ



自分で自分が


情けないよ・・





難しい手術・・って聞いて


恐くない?


私、恐い




・・って
やっとの思いで聞いたら




恐くないで


この、腹の違和感と

痛いのが無くなるなら


手術した方が

ずっとええからな





晴れ晴れした彼の笑顔を見ても


私の気分は
あまり
すっきりしなかった




でも

仕方がないよね


彼がそれを

望んでるんなら


私は、応援するしかない






会計を済ませて

地下の駐車場に降りると



時計はもう

12時50分を
回っていた



今日は
娘の迎えに
行かなくちゃならないので


彼と一緒にいられるのは

2時半まで


・・って

言ってあった



どうする?

お腹が空いたし


とにかく
何か食べよう




ってことになって




病院から5~6分の

和食のお店に
車2台で向かった




個室になってる
お店で
向かい合って食事して



そのあと

喫茶店に移動して

コーヒーを飲んだ







秋は



コンサートの予定が

何件か入っていて



それが終わった

11月の下旬に


入院・再手術したい、って



話してきたらしい



長くても
クリスマスまでには
出られるやろ





どうかなあ


あっ
退院しても



しばらくは


激しい運動も

エ ッ チ も

ダメだよね~~、きっと(´∀`)






えっ

りるらが上なら


大丈夫なんちゃう?(^_^;)






なに言ってんの


余計ダメじゃん( ̄ー ̄;





・・・・なんてね

くだらない話をしているだけで



時間はあっという間に
過ぎた




食事をしたお店を出る時に

個室の中で
キスしただけで



久しぶりの
病院デートは


健全なまま

終了




でも

なぜかな


いつもみたいに


彼が無性に欲しくなったりは
しなかった



こんなデートも


たまにはいいかな、って




彼は


時間があったら

ホテルに行きたいと

思ってたらしいけど



やっぱり
そんなにガッついては
いなかったみたい




別にエ ッ チ は

できなくてもええねん

でも


りるらのオッパイ


欲しかったな




なんて言ってたけどね




一人になってみると



わたし

彼にとって

疫病神みたいな

存在かもな




って
また落ち込む




言えなかった

“ごめんね”が



胸に引っかかっていた



いつか言おう

いつになるか
わからないけど



再手術が終わったら?

言えるかな



言いながら
もしかしたら


泣いちゃうかもしれないけど