この間、なら国際映画祭のプレイベントに行った時、ついでにふらりと祖母の母校に立ち寄った。

祖母は、70年近く前に奈良の大学に通っていた。

その当時の話を、私が高校生ぐらいになったとき、たまに話してくれた。

通っていたのは戦中戦後。色々あった時代ではあったが、全国から集まった自分と同じような女学生たちとの楽しかった思い出の話をしてくれた。

90歳近くになった祖母は今でもこの時に出会った友人と交流があり、本当に仲が良くて羨ましい。

戦後、マッカーサーを見たことがあるという話を聞いた時には驚いた。占領下ではあったが、日本男児にはない欧米の紳士的な振る舞いがとても印象的だったという。

そんな祖母のたくさん思い出の詰まった母校は、ちょうど今年で創立100周年記念だった。

もう、70年も前のことだから、きっと校舎も祖母が通っていた時と違うものになっているだろうと思いながら足を運んだ。

しかし、奇跡はその時に起こった。

大学の前に来たとき、なんと私はタイムスリップしてしまったのだ。

私は目の前に広がる正門や正門の向こう側に見える校舎を見て、万感の思いになり、なんとも言えない思いが込み上げてきて、知らぬ間に涙が溢れてきた。

それは、明治時代に建てられたらしく、今は重要文化財として残されていた。

正門をくぐって中へ入ると、女学生だった祖母と私が同じ空間を歩んでいるような錯覚に陥って、それは不思議なとても不思議なおとぎ話のような時間を旅したのだった。

校舎の中から鳴り響くピアノの音。

大学の歴史をパネルや展示物をたどりながら私は祖母に話しかけた。

本当に不思議な時間だった。

現在、祖母は入院している。そして少しずつ記憶も薄れかけてきている。

覚えているだろうか。

もしかしたら大学時代のことは遠い昔のことで忘れかけているかもしれない。

それでも私は祖母に会ってこの不思議な体験を話したい。

早く祖母に会いたい。