辞意を伝えて数日経っても校長は何も言ってこない。
涙ぐみながら伝えたことは夢だったのかと思うぐらいであった。
 
数日経ち、理事長からメールで呼び出しが・・・
いつに来たかと思いつつ理事長を訪ねる。
 
気難しくいつも険しい顔をしている理事長に顔を合わせるのはかなりの覚悟が必要であった。
ビクビクして理事長室へ行く・・・
しかし、いつもの理事長とは別人のような微笑を浮かべている。
 
私は端的に辞意を伝えた。
しかし、理事長の反応は私の予想と違っていた。
 
理「くやしいの一言です。」
私「申し訳ありません。まだ迷いもありますが・・・」
理「迷いもあるなら、引き止めてもいいですか。」
私「いえ・・・」
理「学校の定員も増え、今年中に学校法人の申請をしようと思っているので、ぜひ一緒に頑張ってほしい・・・」
私「・・・」
理「第一O県に日本語学校はもう必要じゃないと思うよ。中国からの学生も減っているし・・・募集できても入管との関係もあるから、簡単には許可が下りないと思うけど、確かに県の中部に学校は必要だと思うけど、アルバイトもないし無理だと思うな・・・苦労するのは君だよ。」
私「はい」
理「某中国人総会は中国にコネクションがあっても、日本語学校は素人だから、君に全責任を押し付けてしまうかもよ。そんなのできる?」
私「いえ・・・がんばろうかと・・・」
理「私としては、もう少しここで頑張って、一緒にいい学校を作るのを協力してほしいだけど」
私「はあ・・・」
理「嫌なこともあるかもしれないし、きれい事で辞めるって思うことはないと思うけど・・・給料も若いから他の人より安かったし、でも手当てはつけたつもりだけど・・・」
私「それも講座が終わったのでなくなりました・・・」
理「じゃ、続けるなら4月から基本給を7万円(実際の額を言われましたが伏せておきます)上げるよ」
 
私は、この時、ムカッとしました。
辞めると言ったら簡単に7万もUPする。払えるのであれば、最初からそれぐらいの手当てを出すべきではと心の中で思いました。
 
理「まあ、よく考えて答えを出してほしい。万が一君が辞めることを選んだとしても、応援して、学校作りに協力するから、わからないことがあればいつでも相談すればいいよ。私はそうならないことを祈っているけど・・・」
私「わかりました。少し考えます・・・」
 
複雑な思いで理事長室をあとにしました。
 
引き留め作戦で校長も何も言わなかったのかと納得。
しかし、給料のことでムカつきは収まりませんでした。
逆に言えば、最終的に意思を固めたのは理事長のこの一言だったと思います。
 
最終的な辞意を一週間後に伝えるのですが、そのときのやり取りはまた今度。