先日友人との電話で向田邦子のドラマ「家族熱」
の話になった。
YouTubeで全話見られるそうだ。
それでは、と早速視聴。
(さすがに映像は粗い。)
主演は浅丘ルリ子(今の妻)と加藤治子(前妻)
夫役は三國連太郎。息子役が三浦友和、
他に風吹ジュンも出ている。
かなりの豪華キャストだ。
(敬称略)
何というか、
濃ゆ~い昭和の情念のドラマだった。
後で調べたら78年放映で、
当時私は結婚したばかりの頃だ。
あの当時主婦が家でお太鼓締めて
着物着ていたのだろうか?
医師役の三浦友和は暇さえあれば
病院を抜け出しているし。
他にも突っ込みどころ満載だが
そんなことを言っていては始まらない。
ストーリーもさることながら
三國連太郎の何とも言えないいやらしさと
加藤治子の妖しすぎる昭和的な色気が
印象に残るドラマだった。
子供を捨てていった妻、
(息子達にとっては実母)には
金輪際会うべきではないとか、
前妻が出ていった家(文字通りの建物)へ
異常に執着する等、
昭和的な泥っぽい情念の世界が展開される。
キャストの俳優さんんたちも
さすがのアクの強い名優揃い。
存在感たっぷりで
その存在感を楽しめるのではあるが、
かなり辟易していまう感じがあった。
浅丘ルリ子若妻は若くて綺麗なのだが
寝ているシーンでもものすごいアイメイク。
取っ替え引っ替えワンピース姿で
(確かに私もああいうの着ていたが。)
登場してちょっと違和感あり。
ひたむきな妻を演じていているのに
もったいない。
三国夫は出世欲のために不正を犯し
その為に前妻まで利用しているような夫。
それでもルリ子若妻は、
一度自立を目指したものの、
結局家や夫が恋しくなって!?
いやらしい熟年の夫の元へ戻る。
「わきまえてる女」なんでしょうね。
まあ現実的には、
そういう判断をせざるを得ないかもしれないし
世の中的にもそれが良し、
とされる時代だったのだろうけど。
ただやはり見ていてカタルシスはない。
志村喬と宝生あやこも登場するが
宝生あやこの言葉使いが美しい。
(見栄を張って気取って使っているというシーンなのだが。)
今ではもうこういう日本語って聞けなくなってしまった。
ストーリーの終わり方もちょと??
ドラマながら、
その後が心配になるようなエンディング。
精神的に参ってしまい、
もう既に車イスに乗せられている
前妻加藤治子を一家が引き取り、
長男三浦友和が一生面倒を見ると宣言し、
庭で車椅子を押すシーンは
シュールですらある。
しかし1970年後半ってあんなだったかな?
今の世の中はもっと理性的でサラッとしていると思う。
その分情緒や人間的な深みや繋がりを感じられない
世の中になったかもしれない。
でもどちらかと言うと
今の時代の方が私は楽に感じる。
価値観も広がって、
少し風通しは良くなったように感じる。
しかしこのドラマを見ている間、
三国連太郎夫の役の言動を見ると
何かムカムカして気分が悪かった。
例の森ンピック問題を思い出させられたのか。
三国夫の台詞には明らかな女性蔑視の感じがある。
でも当時こういうオジサンが主流だった。
それを考えると、今回の森会長問題もそうだけど、
男女の不平等はなかなか改善していないね。
でも今回これだけ話題になり、
問題視されているのを考えると、
当時に比べると変わっては来ているのだろう。
世界からの批判もあるし。
ともあれ、
やっぱり私はもっと昭和の初期の頃の
向田邦子のドラマの方が好きだなと思った。