テント泊一泊二日の登山を計画したのは、確か、平成24年10月に入ってからだったかと覚えてる。最初は奈良県に位置する日本百名山のひとつ、大台ケ原に行こうと考えていた。大台ケ原と言っても、ポピュラーなビジターセンターからの東大台、西大台コースではなく、水場もないような明神平でのテント泊に興味を持った。ちょうど、雑誌にそのコースが掲載されていて、一泊二日のテント泊にはもってこいだと思ったから。
この写真を見てますます行きたくなった……このブログから拝借
けど、公共の交通機関で登山口まで行くとなると、結構大ごと。調べてみると、京都から3時間もかかるらしい。僕は滋賀県、一緒に行く山仲間のFさんは、神戸から。いや~、移動だけで疲れるね。しかも、到着してから5時間程の工程となると、テン場に着くのも遅くなるし、どっか別の場所にしよう、と言うことになり大台ケ原は諦めた。
そこで、滋賀県からほど遠くなくテント泊出来る場所がないか調べてみることにした。すると、武奈ヶ岳がヒットした。えっ、武奈ヶ岳?武奈ヶ岳は以前から知っていた。けど、そんなテン泊できんの?さらに、ヤマレコでコース検索すると、テント泊出来る原っぱがあることが分かった。水場は無いけど、近くに沢があり、十分飲み水に利用できると書いてあった。
稜線が綺麗な比良山系最高峰で、いつか行ってみたいとずっと思っていた。水についても、アジア、東南アジアで腹を壊したことない僕もFさんも、きっと大丈夫だろうと根拠のない理屈でこの場所に決めた。この話は、この時、Fさんには言わなかったけれど。そう、10月の初旬だった。それから、テント泊に必要なものを揃える必要があったので、山道具の本を買いあさり、ネットでも調べた。
まずは、ザック。テント泊となると50リットルくらいのザックが必要になると書いてあった。持っていたザックが30リットルなので、あっ、そんなもんでいいんだと思った。けど、調べていくうちに、各メーカー、取り揃えているのは、60~70リットルくらいのザックがほとんど。50リットルは、小屋泊の場合の40~50リットルというサイズに属していた。やっぱりそれくらいは必要だよなぁ。そんなわけで、60~70リットルに的を絞り探し始めた。この時に候補にあがったのが、オスプレイ、グレゴリー、カリマー。
オスプレイは山の師匠にいいよって聞いていたので。グレゴリーは雑誌で登山界のロールスロイスと言われていると書いてあった。カリマーはショップに行くとやたらと目立っていて、なんとなくいいかなと。そこで、それぞれの製品を試しに、ショップに立ち寄ることにした。Fさんが、ザックだけじゃなくテントやシューズも買うって言うから一緒にお店に行った。東京は神田にあるニッピンというお店。お店は、ヴィクトリアやICI石井スポーツなどの大型店とは違い、こじんまりとしたお店だった。そこの店員は、いかにもおたくっぽく、大丈夫かぁ?って思わせるほど、全く売る気無し。
すいません。見てるだけではわかんないし、色々教えてもらいたかったから、仲間が声をかけた。今度、テント泊1泊2日で山に行くんですけど、ザックってどのくらいのサイズで、何がいいですか!?すると、店員は、サイズはだいたい60~70くらいですかね。体にフィットしたものが一番ですよ。そんな差し障りの無い返事に期待して来た訳じゃない。Fさんが間髪入れずに、なんか、オススメは何ですか?とさらに尋ねた。やっぱ、これですねぇ。と言って、65リットルのザックを出して来た。
グレゴリー バルトロ65と書いてあった。これが、あのグレゴリーかぁ。担がせてもらっていいっすかぁ?と言ってFさんが荷物を置いた。ちょっと待ってください。お客さんの背丈なら、このサイズじゃ無理ですねぇ。と言ってもう一サイズ上のザックを探し始めた。Fさんは、身長180cmを超える大柄。時間かかってるとこもを見ると、なかなか合うサイズがなさそう。お客さん!バルトロ65ではサイズがなくて、バルトロ75ならあるんですが。一度、これ担いでみてもらえます?Fさんは、何もわからないまま担ぎ始めた。
お客さん、そんな上で担がないですよ。縦走ともなると、荷物も15kgとか重たくなりますよね。そんな時は、ザックは腰で担ぐんです。このヒップベルトで腰骨を包み込むくらいの位置で、こうやって締めるんです。と言いながら、パッパッと位置合わせをして、ベルトをギュッと締めた。えっ!?何コレ?こんな感じなの?店員は沈黙したまま。。。ショルダーベルトはまだ何にも締めてないのに、ヒップベルトを締めるだけで、えっ!?腰だけで担いでるってこんな感じなんだぁ?えぇ。このザックだと、5kgは軽く感じます。えぇ~?
ザックはコレで決まった。Fさんも、良いものを教えてもらって上機嫌。このザックをこの価格で出せるのはうちだけです。ほんと、お買い得です。こんな事を聞くと、僕も、今日は買わないけど、そのフィット感だけでも試してみておこうと、担がせてもらい、パッパッと調整してもらい、ギュッと締めてもらった。なるほど、言わんとしてる事はわかった。確かに、このザックいいかも。けど、値段もいいなぁ。定価、35,700円。20%OFFで、28,560円。登山までに時間はあるし、他、もっと見てみたいから、僕はその日買わなかった。