映画「消されたヘッドライン」観ました(致命的なネタバレ含む注意) | 徒然なるままに

映画「消されたヘッドライン」観ました(致命的なネタバレ含む注意)

チネチッタで、映画「消されたヘッドライン」を観てきました。
金曜夜。
時間帯のせいか、観客はそれほど多くはなかった。
もしかしたら新型インフルの影響もあるのかもしれない。

誰が正義で誰が悪なのか、
何が正義で何が悪なのかについて考えさせられる作品。
要するに全員悪者ということか?

自らの欲望や権益のために、他人を犠牲にしたり殺したりする。
もしくは金で雇われ、情報を手に入れるために、仕事で男と寝る女。
他人の善意を利用して自らの権益拡大に利用する男。

メディアは親会社やスポンサーの都合で、それらに対する不正を断罪する記事が潰されたりする。
民間軍事企業は、人殺しによって大金持ちになる。
政治家は、他人の善意を利用して自らの権益拡大に利用する。(殺し屋、情報隠匿係)

謎解きの展開は、いったん解決した、と見せかけて実は……、という展開はお見事。
ただ、不正を断罪するというストーリーや、展開がコロコロ転がっていくスリリングな展開というものは、パターンとしてありふれていて、新鮮味に欠けるところが残念なところ。
正直、この手の話は過去にいくつも見ていて、すっかり見飽きてしまった。

逆に言えば、この作品はある程度パターンに沿った作りをしているので、パターンを勉強したい人には良い題材と言えるかもしれない。例えば、映画を観て、そのプロットをノートなどに書き下ろしてみると、いろいろと分析もできて、良い勉強になるかもしれない。
(もちろんそのためには、映画を集中して観て、バッチリ記憶しておく、という事が必要になるけれど。まあ、忘れたらまた観れば良いだけの話だけどね)

作品のラスト近くの、政治家夫妻がインタビューを受けに新聞社にやって来るシーンだとか、いくつかのシーンでご都合主義に思える展開がいくつかあった。
また、愛人と民間軍事企業との関係について主人公の新聞記者のインタビューに答える男がインタビューに応じる展開についても、インタビューに応じることになる動機がやや弱い感じがした。
物語の流れがスムーズに進むのでつい見落としてしまいがちなポイントではあるけれど、作品を詳しく分析してみると、やや微妙な点がいくつかあったかな、という印象。
ミステリーというジャンルは、プロットの論理的な骨組みが命だと私は思うのだけれど、こうした微妙な点がいくつかあると、その骨組み自体が怪しくなってしまうので、こうした微妙な点については極力見直したほうが良かったのではないかと私としては思うところだけれど。

他の見どころとしては、英語のセリフが面白い。
例えば、“You're welcome.”と“Thank you.”の話す順番が逆になっていたり、オバマ大統領を連想させるような“Yes, we can.”というセリフがあったり。某政治家が語る「時にはパフォーマンス型の政治家が必要なときもある」というセリフは恐らくオバマ大統領を指しているのではないかと。
また、BGMについても、個人的にはとても好きなメロディ。物語を盛り上げるのに効果を発揮している。(もちろん作品や音楽については各人の好みの問題が大きいけれどね)


以下、5段階評価。

■消されたヘッドライン
ジャンル:洋画ミステリー/サスペンス
ストーリー:★★★
キャラクター:★★★★
意外性:★★★★
癒し:★★★
音楽:★★★★★
総合:★★★