ということで昨日の続きです。
日本はとても豊かになりました。
「水の豊かな国」といわれた日本も、実は食糧という形で「仮想水」を輸入しています。
戦後の日本では考えられなかったくらい肉食になっていますし、家畜を育てるには
相当の牧草が必要となり、その牧草を育てるために必要な水の量は
米と野菜を中心に生活していた時をはるかにうわまわる量です。
今の日本の食生活は自動車や電化製品の輸出によって支えられてきたといっても
過言ではないのです。
ところが。特に電化製品については生産の国外シフトが激しくなり雇用が確保できなく
なってきた。裏を返せば、いつまでも日本人だけが豊かな暮らしをすることが
許されなくなってきたということでしょうか。
日本人よりもはるかに貧しい暮らしをしていた人たちが競争相手になったとき、
それをはるかに上回る価値が提供できないのであれば、日本人の生活レベルも
落ちていかざるをえないということです。
さて、ここまでは結構他人事でした。
ところが、自分の身にも火の粉が降りかかってきそうな気配があります。
「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。
企画職を中心に、「頭を使う」ことを生業とする「知的労働者」については
従来のような「時間」の対価に報酬を出すという形態はそぐわないというもの。
まあ、主旨はわからなくはありません。
電車の中や家の中で仕事のことを考えることもあれば、
会社でネットサーフィンしていることもある。
休みの日にする勉強だって仕事の一環といえなくもない。
短時間で成果を上げた人よりも、仕事が遅いばかりに残業をする人のほうが
収入が多いのはおかしい。まあ、そういう話です。
しかし。そううまくいくかということ。
まず「サービス残業」という言葉すらなくなる。
結果が出れば短時間でいい、すなわち結果が出ないなら
ずっと働かなくてはならない。
なら、求める水準を上に置けば今まで以上に働かせることができる。
恐ろしいことに、経団連の提言ではこの制度
年収400万円以上で年俸制もしくは月給制であれば労使委員会の決議で
導入することができるようにとしています。
年収400万円・・・・。
それほど自分の仕事に裁量が与えられる立場の給料とは思えません。
ホワイトカラーと呼ばれる人はサービス残業を強いられ、
今までその部分の仕事を担っていた非正規雇用者は職を失う。
そんなこともあるのかもしれません。
景気回復、デフレ脱却と明るい話題が多いようにも聞こえますが、
実はそんなに甘くないのかなと思うのでした。