スピッツのワンマンを見たのは初めて。
バンドと会場が一体となってすばらしい音を作りだしていました。
今までいろいろなライブに行っているけれど、あの大きさの会場で
あそこまでバンドが近く感じたのは初めてです。
わざわざ大阪まで行った甲斐がありました。
さて、ライブ後、会場を出ようとしたら「署名」を声高に依頼する人が
入り口あたりにいました。
「今、年金福祉制度改革の中で、この貴重なホールの運営の見直しが
検討されています。大阪においてこれだけの人数を収容できるホール
はここだけです。皆様の署名により・・・・」
そうだ、「厚生年金会館」なんだ・・・。
署名を依頼するなら厚生年金の加入者がターゲットでなくてはおかしく
ないのだろうか??
この件については2つの角度から考える必要がある。
1)年金の資金運用として適当か?
我々は、老後の安定した生活のために年金の掛金を払っている。
つまり、運用サイドとしては「少しでも運用資産を増やす」管理義務がある。
この会館、確かに2400人収容のホールは貴重な存在だ。
それは裏を返せば、「民間の力で合理的に運用しても利益が出ない」ことを
意味するのではないか。つまり赤字なのだ。
これは厚生年金の掛金を支払っている人への裏切りということになる。
2)無駄だからなくすのか?
さて、ではこの施設は儲からない、無駄だからなくすべきなのかというと
これはまた違ってくる。
「儲からないからなくす」では文化の多様性は認められなくなり、画一化されたもの
しか残らなくなってしまう。このクラスの大きなホールがなくなってしまうと、
一流のアーティストをその地方に呼べなくなる等の弊害があり、
中長期的にマイナスとなる可能性が高い。
文化が集積した都市には人が集まってくるわけだから、都市の活性化という
外部効果がありうるという意味では必ずしも無駄になるとは限らない。
(もっとも「プチ東京」を目指した地方都市はたいてい失敗している・・・)
こういった「儲からないけど必要なこと」こそ税金でやるべきものではないか?
あくまでも受益者負担が原則なので、その地方の予算でやるべきものだ。
だからこそ、署名を求めるのならば年間の赤字がどれだけあって、
「誰がそれを補填すべきか」を明確にした上で、負担する人の署名を貰うべきだ。
つまり「地方税をこれだけ増やしてでも残して欲しい」といえるかどうか。
費用を負担せずに恩恵だけを受けている人の署名なんて何万人分集めても、
それは「お金は払わないけれど、ホールは使わせてください」といっているに
過ぎないのだから。