11日の月曜日にあまり見たことがないような夢をみた。人が亡くなるような夢で、しかも親しい人が亡くなる夢だった。誰がというわけでもないが、繰り返しみた。

 

目が覚めてからその記憶があったが、次第にその記憶が薄れ、後味の悪い感覚が残った。悪い夢をみた後は人にその話をする方がいいといわれているので妻に話した。

 

翌日、新聞をみていた妻がお悔やみ欄にTさんの名前が出ていると言う。30年ほど前に職場の上司としてお世話になった方だ。退職後も年に1回ぐらい、お世話になった者たちが囲む会を開いてきたが、十数年前に参加者が高齢化してきたことから開かれなくなっていた。

 

30年近く前に転勤があった時に強力に推薦してくれた方で、その後の職歴に道を開いて下さった人生の恩人ともいうべき人だった。振り返ってみると、仕事と人生は糾える縄のようなものだ。その縄を強くしてくれた恩人は、高校の恩師、4つ目の職場の上司、そして5つ目の職場のこの方ということになる。

 

14日の火葬の日、その方が亡くなったのは11日だったことがわかった。予想はしていたがやはりあの苦しい夢をみた11日にお別れの挨拶に来てくれたのだった。上司とはいえ、信頼できる友人のような人だった。棺に横たわったお顔に手を合わせると、悲しさよりも寂しさが強くわいてきた。

 

本当に親しい人は、必ずお別れにくる。あの青山繁晴議員が昨年の選挙演説中に背後に現れ、横に移動して笑顔を見せ、天上に昇っていった故安倍晋三氏のように。そんな世界に私たちは生きている。