焼き芋をしようよ、と小学校1年の孫が言うので、近くの公園に落ち葉を拾いに出かけた。去年も公園の落ち葉で焼き芋を作ったから今年もと思ったのだろうが、今年の場合は少し事情が違う。芋は小学校の畑に自分たちが植えたもので、先週その紫芋を収穫したばかりだった。そういう意味で芋は特別な芋だったのだ。

 

 

 

 

 

木の種類は詳しくないが、広い公園には相当な種類の広葉樹が葉を落としていた。大きなビニール袋にいっぱい枯れ葉を詰めて帰ってきたが、雨の後だったので枯れ葉は幾分湿っていた。

 

そのままでは火がつかないので、古新聞に灯油を染みこませてその上に枯れ葉を重ねた。庭木が焦げてはいけないので適当な間隔をとって着火する。そして万が一の場合に備えてバケツいっぱいの水も準備しておく。

 

しばらく燻って煙が上がり始め、温度が上昇するようになってやっと枯れ葉が燃え始めた。芋は湿った紙で包み、その上をアルミホイールで包んで4箇所ぐらいに分散してくべる。

 

焚火の火をしばらく眺めて時間を過ごす。落ち葉が燃える程度の火力だが、それでも相当熱さを感じる。外側の落ち葉をかき集めてはしゃぐ孫に注意を払いながら、炎を眺めていると、何とも気持ちが落ち着いてくる。

 

焚火を趣味にしている人がいるそうだが、こういうことなんだと実感する。むろん公共の場で焚火はできないし、庭のようなある程度の空間がないとできない。つまり昨今は焚火は贅沢な趣味なのだ。

 

数時間経っても焚火の火はちょろちょろと燃えている。結構な熱量の中で芋はいい焼き芋になっていた。その特別な焼き芋を目の前にして、今日一日の終わりの時間に小学一年生は十分満足していたようだった。