GW後半は家でゆっくりしているので、九州時代の探訪記を書きましょう。
昨年の2月、福岡県春日市にある「奴国(なこく)」の遺跡を見にいきました。
「奴国」は日本史に2回登場します。1回目は、後漢書東夷伝に記され福岡市の志賀島で見つかった金印に「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」と記されている奴国。2回目は、魏志倭人伝(魏書東夷伝)の中に邪馬台国への通り道として記されている奴国です。前者は紀元後1世紀、後者は3世紀の話ですが、両者が同一の国かどうかは厳密には分からないそうです。
JR鹿児島本線で博多から南へ3駅の南福岡の近くに「春日市奴国の丘歴史公園」があります。この公園は、広大な「須玖(すぐ)岡本遺跡」の一部を公園にしたもので、弥生時代の貴重な遺跡が見やすく展示されています。
まず、入口近くに置かれている巨大な石に注目しましょう。これは、奴国の王墓の上石です。1899年(明治時代)に地元の方が家を建てようと石をどかしたところ、下から甕棺墓(甕のような棺)や副葬品が多く出土し、王墓と分かったそうです。この王様は、後漢から金印をもらった紀元57年の数十年前、ちょうど紀元前後の王様だそうです。
実はこの上石、もともとあったところから公園内に移設されているそうです。では、出土した場所を訪ねてみましょう。
公園の北側に、南北朝時代から続く岡本熊野神社があります。目指す場所はこの先にあるそうです。
奴国の丘歴史公園は春日丘陵の北部にあります。神社は丘陵の北端。この参道を降りた先に目的地はあるようです。
参道の階段を降りて振り返ると、神社が神聖なる丘の入口を守っていることがよく分かります。
丘を降りて少し歩いた住宅地の中。ここが王墓の場所です。このあたりには、青銅器工房やガラス工房など、弥生時代中期の最先端技術を示す遺跡が発見されているそうです。春日市恐るべし、ですね!
さて、公園に戻りましょう。丘を利用した公園は広く、歴史は別にしても歩いて気持ちのいいところです。
丘の上には遺跡を保護し展示する二つのドームが。このあたりが遺跡の見どころです。
ドームの中に入りましょう。写真の右側にあるのが甕棺墓です。確かに甕(かめ)の形ですね。甕棺墓は、弥生時代中期に九州北部で多く見られ、小さいものは子供用だそうです。
甕棺墓のほか、祭祀用の土器も出土しました。
ドームのそばには、竪穴式住居の跡が。王墓が丘の下に、王墓でない墓や住居が丘の上にあるのはなぜか?聖なるもののイメージが2000年前と今では違うのかもしれませんね。
さて、今まで見てきたのは紀元前後~1世紀(弥生中期)の「金印の奴国」の話ですが、3世紀頃(弥生後期)の「魏志倭人伝の奴国」はどうでしょうか。
魏志倭人伝(魏書東夷伝)では、朝鮮半島から邪馬台国に至るまで、対馬国(対馬)、一大国(=一支国、壱岐)、松廬国(松浦)、伊都国(糸島)と続いた後、奴国が登場します(その後は、不弥国、投馬国、邪馬台国の順)。この流れで言うと、場所的には、奴国の丘歴史公園あたりに3世紀の奴国があってもおかしくなさそうです。
ただ、魏志倭人伝では「奴国には2万世帯ある」とされており、私が見た一支国や伊都国の1千世帯よりかなり大きな国です。金印の奴国がそんなに発展したのなら、3世紀(弥生後期)の遺跡がこのあたりに多くあるはずですが、どうなのでしょうか?…古代史の謎はそう簡単には解けないのでしょうね。
実は邪馬台国はこの奴国の丘にあったのだという人もいます。それはともかくとして、一支国、伊都国、奴国の遺跡が九州にあるんだから、邪馬台国がいきなり近畿というのは考えにくいなというのが実感です。九州に赴任してから、「にわか邪馬台国九州論者」になってしまいました。
九州古代史ロマンは限りなく続いていきますね。
【今日のBGM】
・高橋優 「プライド」(TVアニメ「メジャー・セカンド」エンディングテーマ)
・4月から始まったNHK・Eテレのアニメ「メジャー・セカンド」のエンディングテーマです。この歌を選んだ理由は二つ。アニメ「メジャー」が素晴らしいことと、この曲が素晴らしいこと。
・アニメ「メジャー」は6シリーズが完結しています。第1シリーズを除いて全部見ましたが、とても好きで、のめり込みました。野球選手を父に持つ茂野吾郎が少年野球から高校野球、米マイナー、ワールドカップ、米メジャーと成長していく物語です。周囲の人たちと協力したり競ったりする群像劇でもあり、スポ根ものでも魔球ものでもなく、等身大の若者が悩みながら成長する姿が結構感動的です。
・「メジャー・セカンド」は4月から始まった続編で、茂野吾郎の子供世代が二世の看板を背負いながら悩み成長する物語です。毎週楽しんでいます。
・そのエンディングテーマが「プライド」です。メジャーのテーマ曲は、オープニングが力強くエンディングが心に沁みるものが多いのですが、この曲も、「誰にも期待されてないくらいが丁度いいのさ」といった若者へのメッセージが心に沁みます。
・メジャーもメジャー・セカンドも、もし機会があったらご覧ください。











