アメトーーク芸人ドラフト会議から見るフットボールアワー後藤の汎用性について
8月4日のアメトーークでは、「芸人ドラフト会議」という企画が放送された。この企画は、出場者がもしもトークを主とした冠番組を持つならどういったメンバーをキャスティングするのかを楽しむもので、今回は千原ジュニア・バナナマン設楽統・フットボールアワー後藤輝基・有吉弘行の4人が出場していた。この企画で一番注目すべき点は、なんといっても“出場者がどういった番組構成をしたいのか”というのが見えるところであろう。この企画を通して、普段芸人が何を考えながら番組に出演しているのかが見え隠れするところがとても面白い。そして、見どころといえば、やはり最初に指名するドラフト一位に誰を指名するかというところであろう。
まず、今回の放送された芸人ドラフト会議での各出場者が指名した一位を挙げていくと、[千原ジュニア/フットボールアワー後藤][設楽統/ブラックマヨネーズ小杉][後藤輝基/次長課長河本][有吉弘行/フットボールアワー後藤]となる。千原ジュニアと有吉がフットボールアワー後藤で重複したのである。結局、抽選の末有吉が後藤を獲得したが、その獲得した際の後藤を評したコメントが非常に気になるものだったので、文字起こししておこう。「お笑い界で最も汗をかいてるツッコミですよ。まあもう、攻守ともに。どんな無茶ぶりだろうが対応しますし。一生懸命汗をかくという意味では一番働いている人間だと思いますから。」ここでのコメントで個人的に気になる点は、「攻守ともに」という言葉である。ツッコミである後藤を評価するのに「攻守ともに」とは一体どういった意味であろうか。次の章では、この言葉について考察していこう。
通常、笑いを生むとされているのが「ボケ」の役割である。ボケが笑いの発生源として機能し、そしてツッコミが拡声器として笑いを大きくさせるというのが、一般的な役割分担である。しかしながら、近年のバラエティ番組(特にトーク番組)ではこの役割分担はもはや形骸化されている。コンビ間でのボケやツッコミという役割など、番組のMCが一人いればその人が進行役となるのでツッコミを兼ねなければならない状況になる。すなわち、番組内ではコンビ間で決められた役割など関係のないものとされるのである。つまり、バラエティ番組では、ツッコミであっても笑いの発生源としての機能を求められるということである。しかしながら、普段はツッコミという役割をしている人間が急にボケのスタイルをとり始めると、その人の人間像が崩れてしまい、受け手の対応が混乱する。笑いの発生源としての役割を求められているのだが、ツッコミという役割を汲んだ形で笑いを生まなくてはならないのである。こうした形をとりながら、現在最も活躍しているのが、フットボールアワーの後藤である。
後藤のツッコミスタイルを検証していくと、最初はオーソドックスなツッコミをして自分のスタンスを示しておいて、その後ボケのような言葉を乗せる。例を挙げれば、「ちょっと急になんなんこれ!温度差で風邪引くわ。」といった案配である。後藤の注目すべき点は、後半部分の後のせツッコミのボキャブラリーが豊富かつ秀逸な点である。ただのツッコミだけであれば、そこで笑いを大きくする事はできる。しかしながら、後藤はそこに別の視点から“後藤なりの言葉”を乗せるため、新たな笑いを生む事ができる。後藤なりの言葉を付け足す事で、一気にその場を支配する事ができる。一度こうした流れを作る事で、次から後藤のツッコミに注目するようになる。そうなれば、後藤自身がツッコミをしやすい仕組みを作り上げる事ができるようになるのである。番組MCとしては、笑いの発生・拡散・そして別の視点の提示。と、番組の流れ作りという負担を分散する事が出来る。それにより、番組の進行に専念することができるのである。フットボールアワー後藤がMCに信頼される存在になった事で、番組の核ができやすくなった。番組の核さえ出来上がれば、あとは誰がどのように騒いでも番組はおおよそ成立する。むしろ、他の人が騒げば騒ぐほど、番組に広がりがうまれるようになる。例を挙げれば、TBS系列の「クイズ☆タレント名鑑」のような、笑いどころが随所にあるような番組構成をすることができるのである。無論、フットボールアワー後藤がいるだけで、そのような番組が完成するかと言えば、そうではないが、その期待を持たせるのがフットボールアワーの後藤なのである。また、後藤一人が現在はその期待をさせるような存在になったということである。それを評価したの今回の芸人ドラフトで、有吉であり、千原ジュニアということがわかったのだ。
ちなみに、私が個人的に最も驚いたのが設楽統がアシスタントとして指名したトリンドル怜奈だ。その理由が、騒いでいる芸人たちをトリンドルが冷めた目で見ているの状況を作りたいというものだったのが、設楽らしい視点だなと思って非常に興味深かった。
まず、今回の放送された芸人ドラフト会議での各出場者が指名した一位を挙げていくと、[千原ジュニア/フットボールアワー後藤][設楽統/ブラックマヨネーズ小杉][後藤輝基/次長課長河本][有吉弘行/フットボールアワー後藤]となる。千原ジュニアと有吉がフットボールアワー後藤で重複したのである。結局、抽選の末有吉が後藤を獲得したが、その獲得した際の後藤を評したコメントが非常に気になるものだったので、文字起こししておこう。「お笑い界で最も汗をかいてるツッコミですよ。まあもう、攻守ともに。どんな無茶ぶりだろうが対応しますし。一生懸命汗をかくという意味では一番働いている人間だと思いますから。」ここでのコメントで個人的に気になる点は、「攻守ともに」という言葉である。ツッコミである後藤を評価するのに「攻守ともに」とは一体どういった意味であろうか。次の章では、この言葉について考察していこう。
通常、笑いを生むとされているのが「ボケ」の役割である。ボケが笑いの発生源として機能し、そしてツッコミが拡声器として笑いを大きくさせるというのが、一般的な役割分担である。しかしながら、近年のバラエティ番組(特にトーク番組)ではこの役割分担はもはや形骸化されている。コンビ間でのボケやツッコミという役割など、番組のMCが一人いればその人が進行役となるのでツッコミを兼ねなければならない状況になる。すなわち、番組内ではコンビ間で決められた役割など関係のないものとされるのである。つまり、バラエティ番組では、ツッコミであっても笑いの発生源としての機能を求められるということである。しかしながら、普段はツッコミという役割をしている人間が急にボケのスタイルをとり始めると、その人の人間像が崩れてしまい、受け手の対応が混乱する。笑いの発生源としての役割を求められているのだが、ツッコミという役割を汲んだ形で笑いを生まなくてはならないのである。こうした形をとりながら、現在最も活躍しているのが、フットボールアワーの後藤である。
後藤のツッコミスタイルを検証していくと、最初はオーソドックスなツッコミをして自分のスタンスを示しておいて、その後ボケのような言葉を乗せる。例を挙げれば、「ちょっと急になんなんこれ!温度差で風邪引くわ。」といった案配である。後藤の注目すべき点は、後半部分の後のせツッコミのボキャブラリーが豊富かつ秀逸な点である。ただのツッコミだけであれば、そこで笑いを大きくする事はできる。しかしながら、後藤はそこに別の視点から“後藤なりの言葉”を乗せるため、新たな笑いを生む事ができる。後藤なりの言葉を付け足す事で、一気にその場を支配する事ができる。一度こうした流れを作る事で、次から後藤のツッコミに注目するようになる。そうなれば、後藤自身がツッコミをしやすい仕組みを作り上げる事ができるようになるのである。番組MCとしては、笑いの発生・拡散・そして別の視点の提示。と、番組の流れ作りという負担を分散する事が出来る。それにより、番組の進行に専念することができるのである。フットボールアワー後藤がMCに信頼される存在になった事で、番組の核ができやすくなった。番組の核さえ出来上がれば、あとは誰がどのように騒いでも番組はおおよそ成立する。むしろ、他の人が騒げば騒ぐほど、番組に広がりがうまれるようになる。例を挙げれば、TBS系列の「クイズ☆タレント名鑑」のような、笑いどころが随所にあるような番組構成をすることができるのである。無論、フットボールアワー後藤がいるだけで、そのような番組が完成するかと言えば、そうではないが、その期待を持たせるのがフットボールアワーの後藤なのである。また、後藤一人が現在はその期待をさせるような存在になったということである。それを評価したの今回の芸人ドラフトで、有吉であり、千原ジュニアということがわかったのだ。
ちなみに、私が個人的に最も驚いたのが設楽統がアシスタントとして指名したトリンドル怜奈だ。その理由が、騒いでいる芸人たちをトリンドルが冷めた目で見ているの状況を作りたいというものだったのが、設楽らしい視点だなと思って非常に興味深かった。