チャンミンとの不思議な出会い、
彼の無垢な魂に触れて、愛しさが募った。

偶然の出会いだったけれど、最初から素の姿を見られてしまったからか、
なぜかチャンミンの前では優等生の仮面をかぶることができなかった。
そのひととき、俺は初めて自分の心に血が通ったような気がした。
優等生の仮面を被った偽りの姿ではない、本当の俺として向き合いたかった。
チャンミンだけは最初から信じていい気がした。

今度会ったらどんな顔をして、どんな言葉をかけようか、
また唇に触れてもいいだろうか
また抱きしめてもいいだろうか
今度会ったらどこかに攫ってしまおうか
こんな気持ちは初めてだったから、大事にしたかった。

父の会社の陰謀に巻き込みたくなくて、
会わないように、気づかれないように
距離を置いたこともあった。
親父の秘書との不適切な関係も、理不尽な命令も、
チャンミンを守るためでなければ絶対に従ったりしなかった。
チャンミンに知られないように、わざと距離を置いて突き放すことしかできなかった。
何よりもこんな汚れた俺に気づかれるのが怖かった。

けれど、結局お前は俺を見つけ出してしまった。
逢いたかったと俺の腕の中に飛び込んできた愛しい存在を
どうして拒むことができただろう。
決して触れてはいけない無垢なお前を抱きしめずにはいられなかった。
これは運命なのだと思った。
お互い男だとか、親の会社が競合関係にあるとか、
そんなことは関係ないと思った。
誰にも知られてはいけない恋だけれど
そんなものは乗り越えて見せると思った。


数カ月後、チャンミンが寮に入ってからは、毎晩同じベッドで眠り朝を迎えた。
一度抱いてしまえば、その体温がなければ眠れなくなった。
俺がお前に溺れるほどにお前も俺なしではいられない体になっていく。
休日は2人でずっとベッドに沈んで眠る時間も惜しんで愛し合った。
腕の中のぬくもり、幼さの残る寝顔にどれだけ癒されたかわからない。

人目のある昼間、学校では全く接点を作らず、夜だけが俺たちの時間だった。
わずかな時間に我慢が出来なくなったのは俺の方だった。
昼は逢わないという禁を一度破ってしってからは
朝も昼も夜も、俺たちは時間を惜しんで逢うようになっていた。
チャンミンが俺の腕の中にいれば、それで幸せだった。

チャンミンだけが俺を癒し、心から笑わせることができた。
チャンミンだけが俺を熱く滾らせ、理性をなくすほどその体に溺れた。
チャンミンを愛して初めて、自分で呼吸をして自分で考えることができたような気がする。

2人でいれば何もいらなかった。
お前さえいれば何も怖くないと思った。
俺の今までの生き方も野心も、なんてちっぽけなものだろう。
愛のない生活になんの意味があるんだろう。
チャンミンを愛してこそ俺は生きていると実感することができるのに。
この愛を守るためなら何でもできる、チャンミンと愛し合えるならなんでもする
それくらい冷静さを失っていた。

初めての本当の恋に溺れて
何よりも愛しい存在を危険にさらすことになるとは
思いもしなかったのだ。

自分の存在を初めて心から呪った。
結局俺と言う人間は地べたを這いつくばって
利用し利用され心を殺して生きることしか許されないのか。

神など信じなければよかった。
救いなど求めなければよかった。

チャンミンを愛さなければこんなことには…。


to be continued ...



(画像はお借りしました)