「いてっ」
暗い玄関で不意にドスンと壁に押し付けられて
息が止まりそうになる。
そのまま襟元を締められ、唇を奪われる。
この唇は…チャンミン、なぜお前が?
お前だとわかれば拒むことはない。
お前のしたいようにさせるだけだ。
珍しく激しく舌を絡めてくるお前の腰を抱き寄せると
足を絡めて腰を密着させる。
足を絡めて腰を密着させる。
首が苦しいのでお前の手をゆるめようとするけれど、
思いのほか強い力で締められてなかなかほどけない。
本気を出せば俺の方が力があるけれど、
お前がどうするか、限界まで耐えてやるさ。
獣のように荒い息を吐きながらお前が唇をはずし、
濡れた唇を乱暴に手の甲で拭う。
暗闇の中でも俺を睨みつけるお前の瞳から涙が流れているのがわかる。
首を締めつけるお前の手が緩んで、少し咳込むけれど、
そんな様子をただじっと睨んでいる。
この2日で何があった?
お前と離れていた2日間、それでも寂しさを感じないくらい
俺の中にはいつもお前がいた。
打ち合わせのあとお前と過ごした日本の宿舎に一人で戻っても、
部屋のあちこちにお前の気配が残っていて、
まるで今も一緒にいるみたいに思えた。
マネージャーが帰国前にわざわざこっちに寄ったと言っていたから、
俺のために気配を残していったのだろう。
一人で眠るベッドは冷たいけれど、そこのお前の残り香を感じれば
それだけで俺は体の力をぬいてくつろげる。
ここではたった2日だけど、お前を感じながら眠った。
それよりも帰国してからの方が問題だろう。
また離れ離れの生活が待っている。
お前なしでいられないわけじゃないが、
俺の渇きを癒せる存在は他にはいない。
どうしても、お前を自由にしてやれない。
あなたは今頃あの部屋に戻っているかな。
僕のこと思ってる?
いつもならしばらく来ないってわかっているときは
荷物をすべて整理して、触られたくないものは鍵付きのキャビネットに収め、
タオルやシーツその他クリーニングに出してから部屋を出るけれど、
あなたがそこで寂しくないように、少し残してきた。
すぐに僕がそこに帰ってくるかのように。
シーツも僕が一晩寝たままにしたから、
あなたがベッドに入っても僕を感じられるよ。
あなたは本当はすごく繊細な人だから、ほんの少しの時間でも
一人で苦しい思いはしないでほしい。
今回はドラマのイベントで大先輩と一緒だからきっと気疲れするだろう。
サンウさんとは仲良くなったみたいだけど、やっぱり仕事では大先輩だから
相手に気づかれないようにすごく気を遣うはず。
早く僕のところに帰ってきて、僕の中で休ませてあげたい。
ヒョン、今日のイベントはどうだったか、きっと帰ったらうるさいくらい
話をしてくるだろう。
うれしいことがあったら子供みたいに笑って話すんだ。
そんな顔、僕しか知らないよね?
夜、いつものようにネットでニュースを検索していたら、
あなたのこともニュースに出ていた。さすがに早いな。
評判はどうだったのだろう。詳しいことは明日かな?
そう思いながらいろいろ見ていると、信じられないものを目にした。
何これ…。
僕はコンセントを引き抜き、ベッドにもぐりこんだ。
ネットなんか見なけりゃよかった。
あなたはきっと明日何もなかったような顔で帰ってくる。
僕はどんな顔をして逢えばいいんだろう…。
深夜だったけれど、マネージャーに電話すると明日の予定の変更を頼んだ。
しばらく俺を睨んでいたお前は、おもむろに俺の腕をつかむと、
俺をひっぱって寝室につれて行く。
どうせ抱くつもりだったけれど、お前が何に腹を立ててるか聞かないと
このままじゃ気が乗らない。
ベッドに押し倒して乱暴に俺の服を脱がせていくのをじっと眺めて、
お前が胸に吸いつこうとしたところで体を入れ替え、
手首を押さえつけて自由を奪う。
「お前、なんなんだよ。電話もメールも返事しなかったくせに」
「ヒョンなんか」
「なんだ」
「ヒョンなんか、僕の気も知らないで、なんだよ」
すっかり泣きだしたお前を見下ろして静かにたずねる。
「俺が嫌いになったか?」
お前は一瞬驚いたように目を見開くと、すっと視線をはずしてつぶやく。
「嫌いになれたら少しは苦しくなくなるのかな…」
「苦しい?」
「ずっと苦しかった。僕にはヒョンだけなのに、ヒョンは違うから」
「違わないだろ?俺にもお前だけだよ」
甘く囁いてこのままコトに及ぼうとしたら腕をつっぱって押し戻される。
さっきほど深刻じゃなさそうだけど、どうやらキスもさせてもらえなそうだ。
拗ねた目で俺を見上げる。
「じゃあ僕以外の人の横であんな顔して笑わないでよ」
「あんな顔?」
「僕じゃ年下だからダメなの?」
「なんの話だ?」
「ドラマのイベントの写真…ネットに上がってた」
「別に普通の写真だろ?」
「弟みたいな顔してた」
「当然だろ、年下なんだから」
「顔近いし」
「?普通だろ?」
「普通じゃない。ヒョンはいつも顔近いんだよ」
「お前、イヤだったのか?」
「僕はいいんだよ。僕以外の人とはあんなに近くしないで」
「妬いてるのか?」
「別に妬いてないけどイヤなんだよ。ヒョンが他の人と顔近いのも弟の顔してるのも」
「誰も気にしてないと思うけど」
「気になっても言えないと思うけど」
「そうか?」
「そうですよ。それに僕がそういうの見るのイヤだって言ったら?」
「やっぱり妬いてる」
「妬いてない」
「もうわかったから黙れよ。夜はそんなに長くないぞ」
「ごまかすの?」
「何もごまかすことなんかない。お前が笑ってくれないと俺は安らげないよ」
「ヒョン…ずるいよ。そんなこと言われたら怒れないじゃないか」
「ずるくてもいいよ。お前を笑わせるためなら俺はどこまでもずるい男になるよ」
「もう…わかったよ。でもヒョン、もう僕を悲しませないでね」
「ああ、お前だけだってわからせてやる」
「そういうことじゃなくて」
「ほら、もう黙って。いつまでも焦らすなよ」
「バカ…」
恋人の夜は短い。
ひとつになった僕たちの体が2つに戻った頃、もう空が白み始めていた。
結局あなたと離れていられない僕、そして僕を離せないあなた。
これからどうやって生きていこうか。
別々の家で、別々の体で生きていくしかないのか。
答えのない命題は悩む価値もない。
あなたに心も体も乱されて、それでもいい。
ただ、今僕を包むあなたのぬくもりだけがすべて。
そして僕もずっと抱きしめているからね。
誰よりも愛しい人
誰よりも憎い人
誰よりも守りたい人、あなたを。
fin.
(画像はお借りしています)
やーっと、最初に戻りました。
2回くらいで終わらせるつもりが調子に乗って長々と書いてしまいました。
ちなみに、チャンミンを激昂させた写真はこれってことでww ↓
ユノさん、顔近いですよね、いつも。
ミンを泣かせないでね。お願いよ―。
本気を出せば俺の方が力があるけれど、
お前がどうするか、限界まで耐えてやるさ。
獣のように荒い息を吐きながらお前が唇をはずし、
濡れた唇を乱暴に手の甲で拭う。
暗闇の中でも俺を睨みつけるお前の瞳から涙が流れているのがわかる。
首を締めつけるお前の手が緩んで、少し咳込むけれど、
そんな様子をただじっと睨んでいる。
この2日で何があった?
お前と離れていた2日間、それでも寂しさを感じないくらい
俺の中にはいつもお前がいた。
打ち合わせのあとお前と過ごした日本の宿舎に一人で戻っても、
部屋のあちこちにお前の気配が残っていて、
まるで今も一緒にいるみたいに思えた。
マネージャーが帰国前にわざわざこっちに寄ったと言っていたから、
俺のために気配を残していったのだろう。
一人で眠るベッドは冷たいけれど、そこのお前の残り香を感じれば
それだけで俺は体の力をぬいてくつろげる。
ここではたった2日だけど、お前を感じながら眠った。
それよりも帰国してからの方が問題だろう。
また離れ離れの生活が待っている。
お前なしでいられないわけじゃないが、
俺の渇きを癒せる存在は他にはいない。
どうしても、お前を自由にしてやれない。
あなたは今頃あの部屋に戻っているかな。
僕のこと思ってる?
いつもならしばらく来ないってわかっているときは
荷物をすべて整理して、触られたくないものは鍵付きのキャビネットに収め、
タオルやシーツその他クリーニングに出してから部屋を出るけれど、
あなたがそこで寂しくないように、少し残してきた。
すぐに僕がそこに帰ってくるかのように。
シーツも僕が一晩寝たままにしたから、
あなたがベッドに入っても僕を感じられるよ。
あなたは本当はすごく繊細な人だから、ほんの少しの時間でも
一人で苦しい思いはしないでほしい。
今回はドラマのイベントで大先輩と一緒だからきっと気疲れするだろう。
サンウさんとは仲良くなったみたいだけど、やっぱり仕事では大先輩だから
相手に気づかれないようにすごく気を遣うはず。
早く僕のところに帰ってきて、僕の中で休ませてあげたい。
ヒョン、今日のイベントはどうだったか、きっと帰ったらうるさいくらい
話をしてくるだろう。
うれしいことがあったら子供みたいに笑って話すんだ。
そんな顔、僕しか知らないよね?
夜、いつものようにネットでニュースを検索していたら、
あなたのこともニュースに出ていた。さすがに早いな。
評判はどうだったのだろう。詳しいことは明日かな?
そう思いながらいろいろ見ていると、信じられないものを目にした。
何これ…。
僕はコンセントを引き抜き、ベッドにもぐりこんだ。
ネットなんか見なけりゃよかった。
あなたはきっと明日何もなかったような顔で帰ってくる。
僕はどんな顔をして逢えばいいんだろう…。
深夜だったけれど、マネージャーに電話すると明日の予定の変更を頼んだ。
しばらく俺を睨んでいたお前は、おもむろに俺の腕をつかむと、
俺をひっぱって寝室につれて行く。
どうせ抱くつもりだったけれど、お前が何に腹を立ててるか聞かないと
このままじゃ気が乗らない。
ベッドに押し倒して乱暴に俺の服を脱がせていくのをじっと眺めて、
お前が胸に吸いつこうとしたところで体を入れ替え、
手首を押さえつけて自由を奪う。
「お前、なんなんだよ。電話もメールも返事しなかったくせに」
「ヒョンなんか」
「なんだ」
「ヒョンなんか、僕の気も知らないで、なんだよ」
すっかり泣きだしたお前を見下ろして静かにたずねる。
「俺が嫌いになったか?」
お前は一瞬驚いたように目を見開くと、すっと視線をはずしてつぶやく。
「嫌いになれたら少しは苦しくなくなるのかな…」
「苦しい?」
「ずっと苦しかった。僕にはヒョンだけなのに、ヒョンは違うから」
「違わないだろ?俺にもお前だけだよ」
甘く囁いてこのままコトに及ぼうとしたら腕をつっぱって押し戻される。
さっきほど深刻じゃなさそうだけど、どうやらキスもさせてもらえなそうだ。
拗ねた目で俺を見上げる。
「じゃあ僕以外の人の横であんな顔して笑わないでよ」
「あんな顔?」
「僕じゃ年下だからダメなの?」
「なんの話だ?」
「ドラマのイベントの写真…ネットに上がってた」
「別に普通の写真だろ?」
「弟みたいな顔してた」
「当然だろ、年下なんだから」
「顔近いし」
「?普通だろ?」
「普通じゃない。ヒョンはいつも顔近いんだよ」
「お前、イヤだったのか?」
「僕はいいんだよ。僕以外の人とはあんなに近くしないで」
「妬いてるのか?」
「別に妬いてないけどイヤなんだよ。ヒョンが他の人と顔近いのも弟の顔してるのも」
「誰も気にしてないと思うけど」
「気になっても言えないと思うけど」
「そうか?」
「そうですよ。それに僕がそういうの見るのイヤだって言ったら?」
「やっぱり妬いてる」
「妬いてない」
「もうわかったから黙れよ。夜はそんなに長くないぞ」
「ごまかすの?」
「何もごまかすことなんかない。お前が笑ってくれないと俺は安らげないよ」
「ヒョン…ずるいよ。そんなこと言われたら怒れないじゃないか」
「ずるくてもいいよ。お前を笑わせるためなら俺はどこまでもずるい男になるよ」
「もう…わかったよ。でもヒョン、もう僕を悲しませないでね」
「ああ、お前だけだってわからせてやる」
「そういうことじゃなくて」
「ほら、もう黙って。いつまでも焦らすなよ」
「バカ…」
恋人の夜は短い。
ひとつになった僕たちの体が2つに戻った頃、もう空が白み始めていた。
結局あなたと離れていられない僕、そして僕を離せないあなた。
これからどうやって生きていこうか。
別々の家で、別々の体で生きていくしかないのか。
答えのない命題は悩む価値もない。
あなたに心も体も乱されて、それでもいい。
ただ、今僕を包むあなたのぬくもりだけがすべて。
そして僕もずっと抱きしめているからね。
誰よりも愛しい人
誰よりも憎い人
誰よりも守りたい人、あなたを。
fin.
(画像はお借りしています)
やーっと、最初に戻りました。
2回くらいで終わらせるつもりが調子に乗って長々と書いてしまいました。
ちなみに、チャンミンを激昂させた写真はこれってことでww ↓
ユノさん、顔近いですよね、いつも。
ミンを泣かせないでね。お願いよ―。