僕がストレッチを始めると、向い合せにあなたも同じように体をほぐしながら
まっすぐ僕を見ている。
こんな近い距離でいることはないから少し緊張するけれど、
せっかくあなたが作ってくれた時間を1秒だって無駄にはしたくない。
あなたと初めて会った時の、下を向いていたばかりの僕とは違うんだって
あなたに認めてもらいたい。
そして、ちゃんとあなたの瞳に映りたい。

「緊張しないでいいから、いつもどおりに動いてみな」

「はい」

いつものレッスンで使う曲に合わせて軽く体を動かす。
頭の中で一生懸命ステップを思い浮かべながら踊る。
曲のリズムに遅れないように動くのに必死になると、
途中で曲を止めて、あなたが僕の肩に軽く触れる。

「体はそんなに硬くないみたいだけど、力が入りすぎだ」

「はい」

「ちょっと息吐いてみな」

「はい」

あなたは大きく息を吐くと、僕の顔をのぞきこむ。

「うーん。そっか、わかった。まずその“はい”って言うのやめてみよっか」

「え?」

「お前緊張し過ぎなんだよ。俺そんなに怖い?
 …って、あーそっか。そうだよな。悪い、ちょっと話そっか」

そう言うと、あなたは床にどっかりと腰をおろしてあぐらをかき、
僕にも座れと顎をしゃくってみせる。
とりあえず言われたとおりに腰をおろす。

「…あの、僕、なにか…」

「お前さ、最初に会った時のこと覚えてる?」

あなたと初めて会った時のことを忘れるはずがない。
あなたにかけられた言葉よりも、視線をはずされたことが
軽くトラウマになりそうなくらいショックだった。
きっとあなたには僕がやる気がないように見えたのだろう。
正直あのときはまだ僕には覚悟が足りなかった。
でも、あれから僕は変わった。
オーディションにも合格して正式に練習生になったのは、
あなたに認めてもらいたいからだ。

「はい…あのときはすみませんでした」

「いや、謝る必要はないよ。お前緊張してたんだよな。
 ここに来るやつってみんな早くデビューしたくてギラギラしてるのが多いんだけど
 お前はそういうのに見えなくてさ。やってけるかちょっと心配だったんだよ」

「心配…ですか?」

「うん。みんなせっかく仲良くなっても半分以上は途中で挫折してやめてくんだ。
 俺はお前よりも少し長くここにいるから、そんなのばっか見てきた」

あなたはちょっと寂しそうにつぶやいた。
ぶっきらぼうで冷たく見えたけど、本当はそうじゃないってなんとなく感じてた。
あなたも…傷ついたのかな。

「…僕がすぐにやめてしまいそうに見えましたか?」

「あのときは、な。でも今のお前の眼には力があるから大丈夫だろ?
 だから俺は…っと余計なことだな。とにかく緊張しないでいいってこと」

本当はまだ少し怖かったけど、僕の緊張をほぐそうとそんな話をしてくれたあなたの目に
嘘はないと信じられたから、僕は精いっぱい笑ってみせた。
僕は途中であきらめたりしない。
あなたに信じてほしいって思いをこめて。
すると、あなたはちょっと目を丸くすると、笑って僕の頭をくしゃっとなでた。

「よし。じゃあ、もう怖がらなくていいってことで、俺のことは先輩じゃなくてヒョンって呼べな。
 今からお前は俺の弟だから、ヒョンがなんでも教えてやるから」

「ヒョン?」

おそるおそる呼んでみると、あなたはまた笑って僕の頭をなでる。
ヒョンって呼んでいいって、それって少しはあなたに近づいてもいいってことかな。
あなたの弟でいればあなたに笑いかけてもらえるんだ。

「そう、それでいい。よし、じゃあ今から俺のマネしろよ。基本のステップからな」

「はい」

「“はい”、じゃねえの。ヒョンなんだから“うん”でいいんだよ」

「でも…教えてもらってるのに」

「まったくお前は真面目なやつだな。じゃあ、そのままでいいよ」

そう言ってまたあなたは僕の頭をなでる。
それがなんだかすごくくすぐったくて、あなたの顔をまっすぐ見られない。
僕は家では長男で兄だから、子どもの頃に親からされた以外でそんなふうにされたことがない。
感情を外に出すのもあまり得意ではないから、どうしていいかわからない。
もっとあなたに近づいてもいいの?
もっとあなたに甘えてもいいの?
せっかく弟だと言ってくれたから、それならいい弟でいよう、そのときはそう思っていた。


to be continued ...



(画像はお借りしました)

ツイ情報によると、シムさん、テミンちゃんとデートだったらしいじゃないですか。
ミンミンか…なんじゃそりゃww
女子同士のお出かけにしかならんのか、
あるいはユノヒョンが隣にいないと男の子に戻っちゃうミンがテミナをエスコートしたのか。
それにしてもギュージカル(ギュのミュージカル?)ってことは、
テミナ、まさかのギュライン入り??
シャイニではオンテム押しなんで、それはちょっと…オニュたん頑張れww