頭に強い衝撃を受けて、俺は意識を失った。

その後どうやら1週間も眠り続けていたらしい。


夢を、見ていた。

とても現実とは思えない。

俺はベッドに横たわる自分の姿を見下ろしていた。

たくさんのチューブと機械に繋がれた体には生気がなく、人形のようだ。


そしてその傍らには泣きはらした真赤な瞳で俺の手を握るお前がいた。


「ヒョン、帰ってきて。お願いだから目を覚まして。僕がちゃんと見ていればこんなことには…。

全部僕が悪いんだ。ヒョン、僕が先に行けばよかったのに」


お前が次々と自分を責める言葉を口にする。

お前には全く罪がないのに、なぜそんなに…。


「ヒョン、お願いだから…帰ってきて。僕を独りにしないで、

ヒョンがいないと生きていけない」


お前は何も悪くない、俺は大丈夫だと言ってやりたいのに声が出ない。

お前を決して独りにはしないと抱きしめてやりたいのに、自分の体に戻れない。


チャンミン、お前が可愛くて、可哀想でしかたない。

俺のために涙を流すお前が愛しくてたまらない。

このままではお前の心が壊れてしまわないか、それだけが心配になる。


早く目を覚まさなければ、

早く起き上がらなければ、

早くお前を抱きしめなければ…。


俺が目覚めなくても、お前は健気にできる仕事をこなし、また俺の傍に戻ってくる。

眠ったままの俺の姿を見てため息をつき、俺の手を取りそっと口づける。

その長い睫毛が涙で濡れるのを隠すように時々天井を見上げ、唇を噛みしめる。


日に日に憔悴していくお前、

ちゃんと食事をしていないのか、顔色も悪くやつれて見える。


いつも満月のように静謐な美しい光を纏うお前なのに、

まるで朧月のようにその光は靄がかかって弱々しい。

朧月が雨を呼ぶように、お前の瞳から涙があふれる。


泣かないで、チャンミン。

俺はここにいる。

いつもお前を抱きしめているのに、

ベッドに横たわる俺の体はぴくりとも動かない。

このまま、お前を悲しませたまま、体を失ってしまうのか。


泣き疲れて、眠ってしまったお前の髪を撫でてやりたい。

ベッドに抱き上げて、腕の中に閉じ込めて、涙を吸ってやりたい。

お前を安心して眠らせてやりたい。


この手さえ動けば、迷わず抱きしめるのに。

お前が苦しむことがないようにと神に祈ることができるのに。

この手さえ動けば…。




to be continued ...