満ち欠けをくり返す月のように、

僕の心もまた満たされたと思うと欠けたものを探求めさまよう。

いつだって求めているのに、あなたは知らんぷりするの?


僕たちがまた新しいステージに向かうための準備に追われる中、

すべてをリセットして一から作り上げるのは大変だけど、いつもわくわくする。

睡眠時間もオフも削れるだけ削って”その日”に向けて進んでい行くのだ。


今はかなり自分たちの意見も言える立場になったし、曲を選んだりアレンジを変えたり

振付を決めては変更したりの繰り返しは苦労よりはやりがいを感じる。


僕たちは性格も好みも全く違うから、自分たちでも思いもよらない化学変化を起こすことがあり

それがまた楽しいのだ。


だけど、そんなとき、あなたはすべてそこに集中してしまって他に気をまわせなくなる。

忘れ物は相変わらずだし身の周りのことだって大雑把なのは通常運行だ。

でも、僕のことまで忘れてしまう。

僕たちのプライベートな話だ。

一緒に住んでいた頃はそれでも24時間傍にいられるからよかった。

でも今は別々の家に帰る。

離れていて寂しいのはいつも僕の方だ。


若い頃は言われるままに厳しいレッスンが続く毎日の中で、特に自分に厳しいあなたは

最初にレッスン室に入り、最後に出る日々だった。

なかなかみんなに追いつけない僕の練習につきあってくれて、

その後さらにまた自分の練習もするからだ。

レッスン室ではすごく厳しくて怖いんだけど、あなたが僕だけを見てくれるのがうれしかった。

いつも2人で明け方まで練習して、疲れてそのまま倒れ込んで寝てしまったこともあった。

夏ならいいけど、冬のレッスン室は寒い。

いつだか、そうやって寝てしまって寒さに震えて目を覚ますと、

あなたがコートで僕をくるんで抱きしめたまま眠っていて、僕はその寝顔に恋をした。

僕を包んでくれるこの体温をずっと僕だけのものにしたいと思った。

それからずっと、僕があの宿舎を出るまで、僕はあなたの腕の中にいたのに…。


あなたの腕の中にいれば僕はいつだって安心して眠れた。

死んでしまおうかと思ったくらい辛かった時もあなたがいたから乗り越えられた。

僕が絶対に手放せないもの、そしていつかは手放さなければならないもの。



昨日はマネージャーさんの結婚式に参列した。

事務所の関係者がたくさんで先輩や後輩たちもいた。

あなたは司会をしなくてはいけないから、式の間はずっと離れていたけれど、

僕はずっとヒョンだけを見つめていたんだ。

ちょっとした表情の変化で何を考えているかはわかる。

だけど今日のあなたは時々遠くを見るような表情をするから僕は不安になる。


ねえ、ヒョン。あなたは今何を考えているの?


少しでもあなたとくっつきたくて隣に並んでみるけれど、あなたはこんな時、すごく鈍感なんだ。

ねえ、ちゃんと僕の瞳をみつめて。

僕が何を考えているかわかってよ。


月の明るい夜は君と手をつないで歩こう
月の明るい夜は君と手をつないで歩こう



































次の日はファンミーティング。

朝から準備やリハーサルで時間に追われていて、ゆっくり話もできない。

あなたを見つめていたいのに。


ついついあなたに触れる回数が多くなってしまったみたい。

あなたがちっとも僕を見てくれないからつい気を引きたくなってしまうんだ。

ちょっと構ってほしくて調子に乗り過ぎたかな。

あなたは笑顔で僕をたしなめる。

それでも、膝に置いた手を握ってくれただけで、

僕はつい素の顔になってしまいそうなくらいうれしかった。


ねえ、僕たちもう何日キスしてない?

こんなにもあなたの体温が恋しい。

なのに、あなたは気づいてくれないの?


仕事が終わってから、あなたの家で2人きりになりたかったのに、

あなたが誘ってくれないから僕は行けない。

本当は抱きしめてキスして強く求められたいのに、そんなこと恥ずかしくて言えない。


家に帰って少しお酒を飲んで寝ようと思ったけど、やっぱり寂しくて…。

僕は思いきってあなたの家に行くことにした。

夜遅いからタクシーで途中まで行って、少し歩いた。


見上げれば空には上弦の月が浮かんでいた。

半分しか光があたっていないその姿が少し寂しく見えた。


満月まであといくつの夜を超えれば光で満たされるの?

表では笑っていても心の半分は寂しくてしかたがないんだ。

僕にはあなたという光がなければ生きていけない。

もっとあなたの光で僕を満たしてよ。

そしたら僕もあなたを照らす光になれるのに。



こんな遅い時間に誰かの家を訪ねることなんてしない僕だから、

あなたは少し戸惑っているみたい。

目をみたらわかってしまうから、わざと見えないようにエントランスのカメラを手で隠した。


僕はここまで来たよ。

だから、ここからはあなたが僕を呼んで。

ちゃんと抱きしめて、

キスをして、

あなたの光で僕を満たして。


あなたが呼べば、いつだって僕はあなたの傍にいるよ。

僕にはあなたがいなくちゃダメであなたにも僕がいなくちゃダメだよね。


僕たちは祭壇の前で愛を誓うことはできないけれど、

満月の下で誓った愛は永遠に続くと信じてる。


昨日のあなたの遠い目は同じことを考えているような気がして、

早くあなたを抱きしめたくなった。


「チャンミナ」


ドアのむこうであなたが僕を呼ぶ。

僕はドアを開けてあなたの腕の中に飛びこむ。


「ヒョン、やっと呼んでくれたね」


あなたが愛しくて泣きそうだ。

あなたの首に腕をまわすと、強く腰を抱かれ、唇を求めあう。

顔中にキスの雨を降らせ、手は忙しく僕の体を確かめるようになぞる。

ここが玄関先だとか、まだ靴も脱いでいないのにとか、

いつもなら小言を言うところだけれど、僕は今日はすべてを放棄することにした。

あなたに愛されること以外は…。




fin.









月の明るい夜は君と手をつないで歩こう