ヒョンと再び逢えた日、ヒョンの名前がわかった日、

僕たちは初めて出会ったときのように何度もキスをして、

僕はもうそのままどうなってもいいと思ったけれど、

結局その日は遅くなったけど家に帰った。


もちろん少しは進展があったわけで、僕はヒョンにいろんなことを教えられた。

キスはいろんなキスがあることとか、

首筋を舐められるとくすぐったいけど気持ちいいとか、

他にもいろいろあるけど思いだすとまた体が熱くなっちゃいそう。


あと数日で僕は家を出て寮に入る。

だからそれまではちゃんと家に帰らないとダメだってヒョンが言うんだ。

家に帰りたくなくなるくらい、いっぱいキスとかいろいろしたのはヒョンなのに。


外はすっかり暗くなって、バスももうなくなっちゃったから、

ヒョンがこっそりタクシーで送ってくれた。

先生に見つからないように学校を抜け出して、大きな通りまで2人で歩いた。

街灯がない場所では手をつないで歩いた。

タクシーの中では膝をくっつけて座った。

本当に離れたくなくて、ほんの数時間後にまた学校に来なくてはいけないのに

それでもヒョンと一緒にいたいんだ。


カーブで車体が揺れるのを口実にヒョンの腕にもたれると、

ヒョンはやさしく腰に手をまわして支えてくれる。

運転手さんに見つからないようにこっそり見つめあってほほ笑みあう。

こんなちょっとしたことがすごくうれしくて、ヒョンが大好きで、

僕は幸せなんだって思った。

僕が寮に入るまではもうキスしてもらえないのは寂しいけど、

寮に引っ越したらヒョンは僕をもう離さないって言ってくれた。

僕だってヒョンを離さないもん。


お父さんはヒョンに近づいたらダメだって言ってたけど、

ヒョンに会ったらきっといい人だってわかってくれるはず。

でも今日はまだ止めておいた方がいいかな。

せっかく寮に入れることになったのに、また反対されたらイヤだから

両親には内緒にしなくちゃ。

だからヒョンは両親に遅くなったお詫びをしないとって言ったけど断った。


それから引っ越しの日まで、本当に慌ただしかった。

僕は普段から家の手伝いをしていたから、別に寮生活で困ることなんてないのに

一人息子と離れるのが心配なのか、両親が鬱陶しいほど僕にかまうんだ。

不安が全くないって言ったら嘘になるけど、

それよりもヒョンとひとつ屋根の下で暮らせる期待の方が大きい。


寮に何を持って行こうかあれこれ悩みながら荷造りした。

お気に入りの服や本を入れて、お菓子もいっぱい買ってもらったり、

パジャマもいつも着てるのは子どもっぽいから新しく買ってもらったり、

思ったよりも荷物が増えた。

お父さんはあと数カ月だと思ってるかもしれないけど、

出来るなら僕はずっと寮生活でもいいと思ってる。

ヒョンは卒業しちゃうけど…隣の敷地にある大学だったらいつでも会えるから

そうしたらこの先もずっとヒョンといられる。



あの時の僕は本当に子どもだった。

どうしてあんなに無邪気に信じていられたんだろう。

僕たちはずっと離れないでいられるなんて…。



引っ越しの日の朝、両親といつもどおりに朝食をとって家を出た。

僕の荷物は直接寮に入れてもらえるらしい。

僕はいつも通り学校に行って、授業が終わったら寮に帰ればいいのだ。


今日はなんだか授業も上の空だったけど、

みんなは僕が急に寮に入らなくてはいけなくなって大変なんだと誤解したみたい。

いちいち訂正するのは面倒だし、構われない方が都合がいいのでそのままにしておいた。


早く部屋を片付けてヒョンに遊びに来てもらえるようにしなくちゃ、

僕はそのことで頭がいっぱいだった。

明日は土曜日だから、ずっとヒョンと部屋にいてもいい。

どこかに一緒に出かけるのはきっと無理だから。


寮の生活は覚えることがたくさんあるけど、毎日が合宿みたいでわくわくする。

食事は食堂でしなくてはいけないけれど、部屋にシャワーがついているから不便はない。

寮の外観は古いのに中の施設は新しいのでよかった。

狭い部屋だけど、個室というのはありがたい。

朝と夜に点呼があるだけで、あとは自由にしていられる。

部屋には鍵もついているので、点呼の後は鍵をかけてゆっくり片付けることにする。


明日はヒョンに会えるかな。

僕の部屋がどこだか知っているし、ヒョンが来てくれてらいいな。

ヒョンの部屋は僕の部屋のちょうど反対側の棟みたいで、ちょっと寂しいけど、

夜中にこっそりヒョンの部屋に行っても大丈夫かな。

明日はお休みの日だから、行ってみようかな。


「ヒョン、逢いたいな…」


思わず口に出すと本当にヒョンが恋しくなってしまった。


「俺もだよ、チャンミナ」


突然背中が温かくなって僕はヒョンに抱きしめられていた。

びっくりして動けないでいると、ヒョンの唇が耳朶をくすぐる。


「ヒョン?どうして?僕、鍵をかけたのに」


「ここは秘密の部屋だからね」


「秘密の部屋?」


「そう。寮監と俺しか知らない秘密があるんだよ」


「だからヒョンがここにいるの?」


「察しがいいな。俺の部屋とつながってるんだよ。昔のね、通路があるんだ」


「通路なんてどこにあるの?」


「そこの壁。普段は使えないようになってる。内緒だぞ」


「うん。誰にも言わない」


「昔もそういうことに使ってたみたいだから幽霊が出るって噂があってさ」


「え?お化けが出るの?」


「噂だって。で、その噂また流しておいたから誰にも邪魔されないでお前といられるよ」


「ヒョン…」


「さあ、約束だよ。もう遠慮はしないって言ったろ」


「でも、まだ片付け」


途中でヒョンに唇を塞がれてそれ以上しゃべれなくなる。

後ろから僕を抱きしめて、顔だけ後ろを向かされてヒョンに唇を吸われる。

優しく腰を押しつけながら、僕をベッドに押し倒す。


「まだここで寝てないけど、最初に俺と寝る?それとも俺の部屋で抱かれたい?」


「ヒョン、今するの?」


「そうだよ。今夜お前を抱くから。朝まで寝かせないよ」


いつもよりちょっと怖い眼をしたヒョンに見つめられたらまた胸がぎゅってなる。

ずっとこうなりたいって思ってた。

ヒョンといっぱいキスをして、ヒョンにいっぱい触ってもらって、ヒョンとひとつになりたい。

僕はヒョンの首に腕をまわして目を閉じた。






to be continued ...







(画像お借りしています)

月の明るい夜は君と手をつないで歩こう

























(おまけ)

タクシーといえばこれですよね。о(ж>▽<)y ☆
ロイヤルウエディングですかって雰囲気ですわ~。

ミン可愛すぎて鼻血噴きそうです…ヒョンがね。www


月の明るい夜は君と手をつないで歩こう