あなたが花嫁のヴェールを上げ、静かに誓いの口づけをするとき、
一瞬、その視線が僕をとらえる。
そのまなざしで、すべてがわかってしまった。
あなたのあの言葉も、あなたの思いも。
全身がふるえ、体中が引き裂かれ、切り刻まれるような苦痛に襲われる。
ゆっくりと近づく唇、あの唇は僕のものだ。
花嫁の顔にそえるその指は僕のものだ。
優しくその人を見つめるその瞳は僕のものだ。
その心も体もすべて僕のものだった。
今も、全部僕のものだ。
あなたは心は置いていくと言ったよね。
別れると言いながら、僕の気持ちが決まるまではと。
それならあなたの心はまだ僕のところにいるはず。
僕の気持ちは変わらない。
別れを受け入れてもあなたを愛することは決してやめないのだから。
今も変わることのないあなたへの愛、
それなら、あなたの心はまだ僕のものだよね。
あなたは心のないまま偽りの愛を誓うと言うの?
ずっとあなたの信じてきた神に背くと言うの?
そうまでして僕を突き放して僕が幸せになれると言うの?
イヤだ。
イヤだ。
イヤだ。
あなたが神に背くのも、
その人と偽りの愛を生きるのも、
永遠に僕の手の届かないところへ行くのも、
すべてイヤだ。
あなたを罪人にしてまで手に入れたいものなんて何もないんだ。
それならいっそ、ここで消えてしまおうか。
あなたに愛されたままの心と体で。
ユノ!
僕は席を立つ。
その祭壇に僕を捧げるために…。
誓いの口づけは罪の宣告にも似て、俺はほんの少し戸惑う。
お前の見ている前で、偽りの愛を誓う。
誰に許されなくてもいい。
天罰がくだってもいい。
ただお前だけには…。
俺の愛はお前だけ、心でそうつぶやき一瞬だけお前を見つめる。
すべての感情を隠して無表情だったお前の瞳から一筋の涙がこぼれ、
そこから動けなくなる。
あと数センチ顔を近づけるだけですべてが終わるのに、それができない。
ほんの一瞬絡まった視線だけで、お前にはすべてわかってしまったのだろう。
お前の瞳から涙があふれ出す。
すべてを持っていくと決めたのに、今さら未練など…。
お前には普通の幸せを願ったズルイ男と恨んでほしかったのに、
お前への変わらぬ愛を悟らせてはいけなかったのに。
視界の端で静かに立ち上がるお前が見える。
もうお前から目を離すことができない。
ユノ!
お前の心の叫びが聞こえ、心臓がえぐられるように痛い。
あふれる涙をぬぐおうともせず静かに祭壇に近づき、
突然電池の切れた人形のようにその場に倒れた。
何が起こったのかわからない。
血の気のなくなったお前の顔、ピクリとも動かない体。
お前を助けなければいけないのに、
俺の心臓もまた止まってしまったようで動くことができない。
まわりの誰かがお前の名前を呼んで助け起こそうと近づく。
ダメだ。
誰も触るな。
俺のものだ。
チャンミン!
気づいたら俺は叫んでいたらしい。
オルガンの音はいつしか消え、人々の声も消えていた。
お前に駆け寄り、その体を抱きしめる。
チャンミン、チャンミン、チャンミン。
お願いだ、目を開けてくれ。
お前がいなければ生きていけない。
愛してる。愛してるのはお前だけだ。
チャンミン、お願いだから…。
俺の慟哭はすべての罪を告白してしまった。
俺は地獄に堕ちるしかない。
そのとき、腕の中のお前が静かに目を開け、
その指が俺の涙をぬぐう。
ヒョン、バカだな。なんでこんなこと…。
あとちょっとだったのに、幸せを逃してどうするんですか。
お前は静かに、呆れたように笑う。
心底呆れたように、でも幸せそうに笑う。
お前のその笑顔だけで、俺の心臓は再び動き出すのだ。
こんなことして、もう二人で地獄に堕ちるしかないですね。
しかたないからつきあってあげますよ。
一生罪を背負って生きていきましょう。
誰も知らないこの世の果てがあるなら、そこで一緒に生きていきましょう。
ごめん、チャンミン。
またお前を道連れにしてしまった。
そうだな、2人で探そうか、この世の果てがあるなら。
明るい太陽の下で祝福されない愛だけれど、
俺たちにはこれが絶対唯一の愛。
誰に許されなくても、祝福されなくても、
お互いがいなければ生きていけない。
闇の中でしか生きられなくなったとしても、
そこが地獄であったとしても、
お前と2人ならそこは至上の楽園になるだろう。
ここではないどこかで、お前との永遠の愛を貫くために
俺はその唇に誓いの口づけを落とした。
fin.
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とりあえずアメーバではここまでです。
実はこれは本当のラストではないという…ヒドイ話ですみません。
一応のオチはつけたからこれはこれでありです。
むしろ、このまま終わりの方がいい気がしてきましたが、
腐った頭では正しい判断はできないってことですねぇ。(-_-;)
