一歩一歩、ゆっくりと歩く。

そこはきっと天国に似た地獄。

何よりも好きな色だった赤い絨毯は俺の心から流れ続ける血の色にも見える。

祭壇まであと何歩、心はあの場所に置いてきたから、この体は空っぽだ。

幼いころからずっと信じ続けてきた神に初めて背く瞬間を、

畏れ震える体を誰にも気づかれてはいけない。

コツコツと響く足音は断頭台へのカウントダウン。

今日この場所で俺の罪を知っているのは、主よ、あなただけでいい。


Kyrie eleison; Christe eleison; Kyrie eleison…


教会の片隅にひっそりとたたずむお前

決して視線は向けないけれど、いつだってどこだってお前を見つけることができる。

必死に感情を抑えて、その存在さえも隠すようにうつむきがちの背中は震えていないか、

お前の心は傷ついていないか、それを案じる資格も今の俺にはない。


別れを決めたのはお前のため。

依存しているのは俺の方だったから、お前を解放するよ。

今がどんなに辛くても、お前がどんなに泣いてすがっても、

それがお前のためだと信じたから。


だけど、お前は最後まで涙も見せず、すがってもこなかった。

ただ静かに別れを受け入れる姿がいじらしくて、思わず抱きしめて嘘だと囁きたくなった。

数えきれない夜を越えて何度も愛したお前を手放さなければならないなんて。

お前の瞳にはいつだって俺が映っていたのに。

俺にはお前しかいなかったのに。

ただお前だけを愛して生きていけたらどんなに幸せだろう。

誰も知らないこの世の果てがあったなら、そこで2人きりで生きていこうと、

お前のためならすべてを、家族も友達も信仰も捨ててもいいとさえ思った。

この世の果てがあったなら…。


時間はかかってもお前はいつかこの愛を忘れ、幸せになってくれ。

お前だけを愛し信じてくれる伴侶と可愛い子どもに囲まれた人生がお前には似合う。

今まで俺を愛し守ってくれたように、お前の家族を守って生きるんだ。

俺にはやれなかった当たり前の幸せを。


ヴァージンロードの向こうから、俺の共犯者がゆっくりと歩いてくる。

これから彼女と共に暗く長い時を支え合って生きていこう。

誰にも悟られないように、幸せな家庭を築くのだ。

愛を失う辛さを知っている女性だから、きっといいパートナーになれるだろう。

俺は心を失くしてしまったから、愛してやることはできない。

ただ穏やかに慈しんであげることしかできない。

それももしかしたら愛と呼べる日が来るのかもしれないが、

俺の愛はもうすぐ静かに死を迎えるのだ。


さあ、時間だ。

心のないこの骸をどうか支えてくれ。

愛の死と同時に神の子でもなくなるのだから。

この口から出る偽りの誓いの言葉は、俺の体を縛り付ける枷にしかならない。


聖堂に響き渡るオルガンの音は俺へのレクイエム、

お前も愛の死を見届けてくれ。
心は置いてきた。永遠に愛はお前とともにある。


主よ、憐れみ給え。

この罪は許されなくてもいいから、

せめて愛する人にやすらぎを与え給え。


チャンミン、許してくれ。

そして、幸せに…。



月の明るい夜は君と手をつないで歩こう




to be continued ...





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次でおしまいの予定です。

なんだか暗くて申し訳ないですが、あと少しおつきあいくださいませ。

アメ限じゃないのを書きたかっただけなんで~。


…っていうか、ヴァンパイアですよね。

まだ終わってなかったのかぁ。(オイ

そろそろ書きます。終わりは決まってるのにねぇ。