ユノの舌が首筋を這い、あの店で男に強く吸われたあたりにきたとき、

僕の体中に強烈な快感と言う電流が流れ、痙攣して達してしまった。


放出の後の疲労感と突然のことに膝からくず折れてしまった僕を慌ててささえ、

ユノは僕を不審げに見つめる。


「チャンミン、どうしたんだ?まだ何もしてないだろう?」


「わかんない…こんなの初めてで…」


「初めてでこんなに感じやすいの?それとも、男としたことあるの?」


「初めてだって言ったじゃないか。男となんてあるわけ…あ」


よく考えれば、僕の意思はともかくとして今夜2人目の男なわけで、そう考えると

あの店でのことは数に入れないといけないんだろうかと考え込んでしまう。


「何?思い当たることがあるわけ?」


あからさまに不機嫌な声でユノが問い詰めてくる。


「思い当たるっていうか、よくわからないんだけど…」


「よくわからないって何だよ。あるかないかそれだけだろ。お前、誰でもいいの?」


「そんな、ひどい…」


急に顎に手をかけ自分のほうに僕の顔を上げさせると冷たい目で見つめる。


何でこんな酷いことを言われないといけないのか、涙があふれる。


それからユノは探るようにまた指と舌を這わせ、ちょうどまたあの場所にきたとき

焦った様子で僕の腰を抱き寄せる。


「チャンミン、これどうした?この首の傷。いつ?誰につけられた?」


もうユノの目に怒りはなく、今度は焦りの色が見えた。


「いつって、さっきの店だよ。暗くてよくわかんなかったけど、いきなり知らない人に噛まれた」


「お前、黙ってやらせたのかって、無理か。抵抗できるわけないもんな。マズイな」


「どうしたの?何か知ってるの?何がマズイの?」


ユノはしばらく考え込んでいたが、意を決したように僕をベッドに連れて行って座らせた。


「チャンミン、落ち着いて聞けよ。俺は教会に住んでるくらいだから父さんからいろいろ聞いてる。

やつら、…そのヴァンパイアのことをな」


「ヴァンパイア?だって血を吸われてないよ。僕は生きているじゃない」


「うん、そのあたりの話もしないとダメか。奴らは確かに人間の血を吸うけど、命を取るのは稀だ。

やつらは気に入った人間の血を少しずつ吸うんだ。自分の言うことを聞くように飼いならしてな」


「じゃあ、僕はあのときヴァンパイアに血を吸われたの?」


「いや、正確にはまだだな。その男何か言ってただろ」


「うん、今夜はもう満腹だから、また明日だって」


「やっぱりな。もうお前は奴の獲物なんだよ。明日になったら血を吸われ、一生奴に飼われるんだ」


「そんな、イヤだよ」


「それつけられた時だって拒めなかったはずだ。もうヴァンパイアの毒にやられてんだ」


「毒なんていつの間にそんな…」


「身につける香りで誘って、唾液の毒で抵抗を奪うんだよ。催淫剤みたいなもんだ」


「僕、どうしたら…明日、あの店に行かなければ逃げられる?」


「いや、このままだと自分から行ってしまうよ。それくらい毒の効き目は強いんだよ。でも」


「でも?」


「解毒できないことはない。ただこれは、チャンミンが選ばないと。普通のことじゃないから」


「そんな知らない奴に一方的に言うこときかされるなんてイヤだよ。教えて、ユノ」


「チャンミン、俺のこと好き?」


「ユノ、今はそんなこと言ってる場合じゃ…」


「大事なことなの。俺のこと好き?」


「…うん。たぶん」


「たぶんじゃダメかもな」


「え?それどういうこと?」


「解毒したいなら好きなやつとセックスして体中の汗とか唾液とか体液とかいっぱい出さないと」


「な、なに言ってるの?そんなセ、」


「そう。セックス。俺が好きなら俺とセックスすれば解毒できるけど、どうする?」


「どうするって、そんなの…」


いきなり話がぶっ飛び過ぎて思考が追いつかない。


今日会ったばかりでキスしたり、好きだとか、セックスだとか、僕は混乱してしまった。


選べるわけがないじゃないか…どちらにしても相手が男とか悪夢としか思えない。


「まあ、選べって言われても困るよね。俺も困る。

チャンミンは好きだと思うけど、いきなりそこまで考えてないし」


そうか、ユノは関係ないのに僕と関わったばかりに巻き込まれたんだね。


「そんな顔するなって。イヤだなんて言ってないだろ。今日はってことだよ。

お前さ、今日一目ぼれした相手をいきなり家に連れ込んでヤっちゃおうとか思う?」


「まさか…そこまでは」


「な?そこまでは、だろ?だから俺のこと好き?って聞いたの。

好きじゃないのに俺を選ばせるのはかわいそうだもんな。でも」


僕の目を真剣な目でじっと見つめる。


「チャンミンが俺を好きなら遠慮はしない。誰かわかんない奴にお前は渡さないよ。

俺が守れるならずっと抱いててやる。俺を選べよ、チャンミン。俺が好きだって言え」


ユノにずっと見つめられたい。

ユノの指に撫でられたい。

その腕で抱きしめて、キスして、その先ももっと…。


「ユノ…好き。お願い、僕を抱いて、ユノのものにして」


「チャンミン」


優しくベッドに押し倒され、甘いキスから口の奥まで舌でさぐられる。


「ま、待って。シャワー浴びたい」


「いいけど、正気になると余計に恥ずかしいと思うけど」


「でも…変な奴に触られたままユノに抱かれたくない。ちゃんと体洗いたい」


「いいよ、一緒に浴びよう。洗ってやるよ」


本当は一人で浴びたかったけど、途中で怖くなってしまいそうだから一緒に浴室に入った。


バスタブにお湯をはっている間に、ユノがゆっくりと僕の服を脱がしていく。


優しい目で僕の目を見つめながら、ゆっくりと。


そうして2人ともすっかり服を取り去ってしまうと、恥ずかしくて上を向くことも下を向くこともできない。


「大丈夫だから。チャンミン、俺のことだけ見てて。俺が守るよ」


「ユノ、ごめんね」


「どうして?」


「僕のせいでこんな…」


「好きだよ」


「こんなことさせて」


「チャンミンが好きだ。俺がチャンミンが欲しいんだ」


「ユノ…僕も、ユノが好き。ユノ…」


ユノの広い胸に顔をうずめると、ユノは優しく抱きよせて頭の上にキスを落とした。


ユノと一緒にバスタブに体を沈めると、体にやさしくお湯をかけながら囁く。


「どこを洗ってほしい?」


「そんな、自分で洗うよ」


「ダメ。触られたとこ全部言って。俺の手で洗って記憶まで消してあげるから」


「ん。顔と首」


やさしく顔から首に手をすべらせる。


ユノの指から彼の温かい気持ちが流れてくるようで、気持ちよくてため息が出てしまう。


「他は?何されたか言ってごらん?」


「それだけ」


「え?」


「キスされたけど、触られたのは首から上。で、首噛まれた」


「それだけ?」


ユノは驚いたようにつぶやき、次の瞬間大声で笑い出した。


「ちょっとユノ?」


「ああ、ごめん。だってお前あんなだし、体洗いたいとか言うから何されたかと思ったら」


「あんなって?」


「すごい感じやすかっただろ。首にキスしただけでイっただろ。だからてっきりヤラレちゃったのかと」


そう言うと、僕をギュッと抱きしめてきた。


お互い裸なんで、その、アレがあたるんだけど、ユノはそんなのおかまいなしだ。


「ちょっとユノ苦しいよ」


「お前、ほんと可愛い。もうダメ。本気で抱くから。よかったよ、首から上だけで。

でも毒は出さないといけないから、我慢してな」


「我慢だなんて…ユノはいいの?」


「いいに決まってる。こんな可愛いチャンミン、このまま渡すわけないだろ。俺にすべてまかせて」


「ユノ…」


僕はすべてをユノに委ねて目を閉じた。




to be continued ...





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えーと、ここまで書いたら一気にいかないと面白くないなぁと思いつつ、

お風呂でイチャイチャさせたくて…。

イチャイチャのあとは、毒だしです、ある意味デトックス。(笑)


ちなみに、わたくしただいま夏バテです、完全な。

エアコンにやられてしまってます。

体調の悪いときこそ、妄想力で乗り切らなくてはいけませんね。


明日は腰をすえてアメ限突入の予定…です。


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