ざあっと風が吹いて、タンポポの綿毛が舞い上がりました。
綿毛は土の上に落ちて、無事、根を生やすことが出来ました。
じっくり時間が過ぎて、春。
あの綿毛だった種は、見事に花を咲かせました。
春が過ぎるとともに、黄色い花びらはあらたな綿毛になり、タンポポの頭の上をびっしり飾りました。
ある晴れた日、かわいた風が強く吹いたのを合図にしたように、タンポポの子供たちがいっせいにとびたっていきました。
子供たちは、あいさつもなしに新しい世界をもとめて旅立つのです。
タンポポはひとつため息をついて、肩の力が抜けていくのを感じていました。
あとは茎を折って、また来年の花を咲かせるために地面からたくさん栄養をとってやりなおしだわ・・・とゆっくりしたキモチで考えていました。
そのとき、「おかあさん!」
と声がしましたが、最初、タンポポは気づきませんでした。
そんなふうに呼ばれたことがなかったのです。
もういちど、おかあさん!とよばれたときに、自分の頭の上から声がすることがわかりました。
旅立たなかった子供がひとつ、残っていたのです。
「わたしね、おかあさんといっしょにいたいから風にのらなかったの」
タンポポは、ため息をつきました。きっとこの子はしあわせになれないだろう、と。
頭にあった綿毛の子は、タンポポのすぐそばに着地して、無事に根を張ることが出来ました。
1年め。タンポポの隣に、お母さんよりも背は低いものの、見事に花を咲かせました。
「おかあさんのとなりにいられてよかった!」とこどもは言いました
そんなこどもがかわいいな、とはおもいましたが、タンポポはまたため息をつきました。きっとしあわせにはなれない。
2年め。またまたそろって花を咲かせました。
春がすぎて、綿毛をとばし、茎を折ったころ、長靴をはいたおじさんがどかどか入ってきました。
腰にはなにやら袋のようなものをぶら下げて、ガチャガチャ言わせながら、道具をつかって地面をひっかいています。
地面でねむりについていたタンポポの親子にも、気配が伝わりました。
おじさんは、だんだん近づきながら地面をいっしょうけんめい地面をひっかいています。
いちどどこかへいったと思ったら、今度は手におおきなスコップを持っています。
汗をかきながら、おじさんはスコップを地面に刺すたびに、近くの地面から悲鳴が聞こえてきます。
「うぎゃあーっつ」
「やめてくれぇー!」
とうとうおじさんは、タンポポのそばのツツジの花のそばにやってきました。
ぐいっ、とスコップを突き刺すと、タンポポの体がぐらっとゆれました。
「おかーさーん!」こどもの声がしました。
ああ、やっぱりこの子はしあわせになれなかったわ。
茎や葉を引きちぎられることがあっても根が残っているから私たちは大丈夫、と思ったこともあるけど、地面ごと掘り返されちゃあ仕方ないわね、とタンポポはあきらめました。
しょせん私たちは雑草なのよ・・・
あー、疲れた。
今日は草取りをしまして、たまたまタンポポの葉っぱののこりが2つあって、スコップで掘り返したら1本はすごい太くて、長さも60センチくらいありましたかね。
もういっこはまだぜんぜん細くて、ああ親子なんだなと。
そのご1時間くらい地面をほっくりかえしていたら、なんだかたんぽぽの親子が気になって、書いちゃいました。雑草の悲哀をこめた物語に仕立て上げました・・・?