田中真紀子文科相が、3大学の認可を「取り消す」と言い出したことに端を発した騒動は、大臣の謝罪会見という形で幕を下ろしました。

今回の騒動には、いろんな意味で違和感を覚えます。

まず、「大学の数が多い」という大臣の見解は、私も大いに支持します。少子化が進み、昨今は大学の定員割れが相次いでいます。中には、学生の募集を取りやめ、数年後の閉校を決めた所もあります。需要と供給のバランスが崩れているのは明らかで、国策として大学の設置を減らす必要性があるのは、言うまでもないでしょう。

しかし、それが不認可の理由になるかと言えば、話は別です。認可するか否かは、あくまでも個々の大学の総合力(教育研究の体制、設備、人員など)で判断すべき問題です。「大学の数が多いから」との理由で、これら3大学の設置を「不認可」と一刀両断にされては、今後一切、新しい大学はつくれないという話になってしまいます。

一方で、文部科学大臣が、審議会の答申を覆し、「不認可」とする権利があることは、忘れてはならない事実です。

これまで、審議会の答申は半ば自動的に認可されるのが通例で、大臣が覆した例はありませんでした。それだけに、田中大臣の「逆転裁定」に世間は大騒ぎとなりましたが、これが制度で認められた権限であり、不正行為でないことは、認識しておく必要があるでしょう。

今回、ちょっとした騒動になり、田中大臣が謝罪会見まで開く事態になっていますが、個人的な感想を言わせてもらえば、この罪は非常に「軽い」と思います。

定員割れが相次いでいるのに、大学が次々とできる背景には構造的な問題があるわけで、今回の騒動を契機に、状況の改善が図られることを願いたいものです。