昨日、有楽町線に乗って取引先に向かう途中、乗っている電車が急ブレーキをかけて停止しました。市ヶ谷駅でのことです。

そして間もなく、けたたましい警報音が駅中に響き渡りました。

ウォーン、ウォーン。

いったい何事だろうと思っていると、間もなく車内放送がかかりました。

「ただいま、本車両にて人身事故が発生しました。人身事故が発生しました。今しばらくお待ちください」

人身事故・・・。

一瞬、その言葉の意味を飲み込めませんでしたが、しばらくして足元から頭に無かって、強烈な悪寒が走りました。

この電車に「人が飛び込んだ」ということです。

車内は、緊張した空気が走り、目を見開いている人や口に手を当てている人もいます。

私はホームを背に座っていましたが、ホームでは駅員が慌ただしく駅員が走りまわっています。

そして約5分ほどして、駅員が私の真後ろに集まり始めました。振り返ると、車両の下から、カバンや荷物を引きずりだしています。
どうやら・・・自分の真下に、飛び込んだ人がいるようです。いや、電車に飛び込んだわけですから、もはや「いる」という表現は正しくないのかもしれません。

一つの命が、つい数分前、今しがた、自分の足元で消え去った。

再び激しい悪寒が足元から頭へと走り、激しい動悸が襲います。

間もなくして到着した担架が、どことなくむなしく感じられます。私の座っている背後のホームは、ひとだかりが出来ています。

中には、平気で写メを撮っている人間もいます。やじうまの中学生が、笑顔を浮かべながら、必死で車両の下を覗き込む駅員たちを眺めています。

私は、無性に腹立たしくなりました。

人の命を何だと思っているんだろう・・・。

私は以前も、人身事故の悲惨な現場を目撃したことがあります。あの時は、1週間くらい食欲も減退するくらいショックを受けましたが、今回もまた、心にトラウマができてしまったように思います。