学校の先生は「世間知らず」か

よく「学校の先生は世間知らず」と言われます。果たして、それが真実か否かと言えば、私はまったくもって「否」であり、この事を議論すること自体「バカくさい」と思います。

そもそも、世の中には色んな職業集団がいて、各々の「文化」や「しきたり」を持っています。

私は仕事柄、出版業界や映像業界はもちろん、銀行やメーカー、生保、建設など、さまざまな業界人と会う機会がありますが、仕事の進め方といい、打合せの空気感といい、メールの出し方といい、結構な違いがあります。

出版業界では「普通」な応対に、メーカーの人が「失礼」と感じたり、金融業界では「普通」なしきたりが、映像業界では「理不尽」と感じたりすることは、珍しくありません。

もちろん、どれが正しくて、どれが間違っているという話ではありません。要は「文化」や「しきたり」の違いで、お互いが相手を理解し、歩み寄る必要があります。

同じ教育界の中でも、小学校と中学校では、まるで文化が違います。「私立」と「公立」の差はもっと顕著でしょうし、市区町村による違いも大きなものがあります。

これらを一まとめにして「学校の先生は･･･」と論じること自体に無理がありますし、それを言うならば、世間もまた「学校知らず」です。

結局のところ、「先生は世間知らず」という言葉は、社会的な立場や地位のある人に対するやっかみに過ぎないように思います。警察官や公務員なども同じですが、こうした職業人は、ちょっとしたことでも世間から叩かれてしまう傾向があります。

今から10年ほど前、イタリアに行った時に、あるショップで「もう営業時間終了だから出て行ってくれ！」と言われ、驚いたことがあります。「まだ閉店5分前なのに･･･」と驚いたものですが、かといって「イタリア人は常識知らず」とは思いませんでした。これも文化の違いに過ぎないのです。

大切なのは、お互いが歩み寄る態度、理解し合おうとする姿勢ではないでしょうか。思い返せば、私たちが子どもの頃、さんざん先生に教わってきたことですね。