本日は、私の祖父の話をしたいと思う。
父方ではなく、母方の祖父である。
私が高校2年の春に亡くなって、お葬式に出たのはなんとなく覚えている。
私が育った家庭は、いわゆる核家族で、親戚付き合いというのがほとんどなかった。
祖父母と同居していないものだから、別段、可愛がられたという記憶もない。
ただ、年に1度くらいは家族で祖父母に会いに行っていた。
祖父は、あの時代の人にしては、ひょろ~りとしていて、背が170センチと高く、やせ型であった。火鉢の前に座って、キセルをふかしていたようないないような…まあ、はっきりとは覚えていないので、イメージである。
ただ、朝ご飯の前に、よく和菓子をつまんでいて、祖母に怒られていたのを記憶している。
祖父はその昔、公務員で、役所に勤めていたのだが、突如、40代で辞職し、呉服屋に鞍替えした。
当時は公務員は薄給で、私の母を含め5人の子供を養っていくのが、大変だったらしい。
とにかく、祖父は、役所を辞め、住み慣れた都会を離れて、書店も無いド田舎に引っ越したのだった。
最初から、お店が持てたわけではなく、行商人から始めたらしい。
そのせいかは定かではないが、祖母は膝が悪く、水が溜まったりしていた。
リヤカーを引いて歩いたのだろう。
そして、そのド田舎に、お店を開くのだが、これが成功したのである。
私が小学校の低学年だったと思うが、祖父の店舗兼住宅に家族で泊まりに行った。
お店の玄関の間口が広くて、洋服などが積まれていた。
時々お客さんも来店し、祖父が接客をしていた。
どんな人でもほめまくり、お客さんは相当に気を良くして帰っていったらしい。
子連れのお客さんには、お菓子をたくさん用意していて、子供にあげていた。
呉服屋とはいえ、居間には靴箱が高く積み上げられ、靴だけではなく、布団も売っていた。
キャンディキャンディのアニメの靴(当時は短靴といった)や、縞々セーターなど、行く度に、
いろいろもらってきた記憶がある。ペコちゃんのペンシルチョコレートなどもw
一番覚えているのは、祖父は私が会いにいくとおじいちゃんにだっこしなさいと言って、だっこしては『ぶちゅーっ』とチューをされたものだった。
『おじいちゃんに似たら頭いいんだぞー』とも良く言っていた。
べっとりとほっぺに付いた唾を手でぬぐいつつも、子供心に祖父が嫌いではなかった。
昔ながらの古い家で、まあ、キッチンというよりは台所、トイレというよりは厠、玄関も鍵というよりはじょっぴん(北海道弁で錠前のこと)と言う言葉が似合う家。居間の戸棚の上にはいかにもといった感じの金魚鉢が置いてあり、これもいかにも的な尾っぽの綺麗な金魚が優雅な風情で泳いでいた。
ド田舎なのに、車通りは多くて結構、音がうるさかった。
台所のそばにある急な階段を上ると、雨戸の付いた2階の部屋があった。
ここが寝る場所になるのだが、狭かったせいなのか、押し入れもベッド替わりにしていて、親戚か両親か定かではないがとにかく誰かが寝ていた。
朝目覚めても、雨戸が閉まっているため、真っ暗闇である。天井は屋根の形をしていて、平らではなかったなあ...。
少し大袈裟かもしれないが、子供心に祖父母の家に行くのは異星界に行くようで、心ウキウキしたものである。
しかしこの店舗兼住宅は、私が中学生になる頃、お店も畳み、すっかり改装されて、フツーの住宅になり、異星界的な雰囲気が微塵も無くなってしまって、がっかりしたものだ。
祖父は、相当甘やかされて育ったという話で、曾祖母が、全て魚の骨などを取り除いてあげていたということである。
祖母と結婚してからも、芸者遊びやテニスに興じ、酒を飲んでは都都逸を唄い、なかなかの遊び人だったらしい。
しかし、商売の才はあったようである。
インターネットなどで情報を得ることなどもない時代に、お役所勤めを辞めて、商売人の道を行くなんて、結構な冒険心ではないか。しかも、小学校から高校、大学まで、5人の子供がいたのである。行商人で呉服売りをやるなんて、薄給とはいえ、安定を捨てたわけである。
まあ、そんな生き方に影響されたかはさておき、私達夫婦の話に戻そう。
どんな仕事でも、自分で始めるとしたら、多少なりとも資金がいる。
タイ輸入を始めたときもそうであった。
買い付け先も、品物も、新たに始めたタイ工場との取引も。
タイから買い付けをし、オリジナルブランドを販売しようというわけである。
正直、1年経つけど、利益を出せるところまで行ってるとは言えない。
車の頭金も底を付いた。何か目に見えて、富裕になった証拠はない。
強いて言うなら、タイに行ったという事実だけ。
タイ輸入を始めたときの会話はこうであった。
夫『こういうのって、奥さんが反対するもんなんじゃないの』
妻『反対しないよ。絶対成功するから』
夫『そうだな』・・・プレッシャーがかかったかどうかは定かではありません。
こういってはなんだけど、こういう事って、根拠のない自信が案外支えになっていたりするものだと思う。
天国のおじいちゃん、私達夫婦を応援してください!w
