消費者心理とマーケティング-購買前の情報の探索No3- | 消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -

消費者心理とマーケティング-購買前の情報の探索No3-

消費者心理とマーケティング-購買前の情報の探索(Information searchNo3-として消費者の知覚リスク(perceived risk)と情報探索の関係を取り上げます。消費者は商品を購買する際に情報の探索を行うことで購買意図を形成します。知覚リスクの程度は情報探索の程度とも関係があります。

今回はサマリー版を省略します。

1.購買前(Pre-purchase)の情報の探索(Information search

消費者は商品を購買する際に情報の探索を行うことで購買意図を形成します

2.情報探索の種類

(1)内部探索(Internal search

・過去の消費経験など記憶からの情報の探索

(2)外部探索(External search

・マスメディアや口コミなど記憶以外の情報源からの情報の探索

3.順序

初めに(1)内部探索(Internal search)、不十分な場合は、(2)外部探索(External search

4.外部探索(External search)の頻度

外部探索(External search)を行うことは消費者の時間や労力などを消費しますので、内部探索(Internal search)で充分なときは内部探索で済ます傾向にあります

5.知覚リスク(perceived risk

知覚リスクとは購買に伴って生じうるロスのこと(Peter & Ryan, 1976)。例えば薬を購入した際に副作用を確かめずに購入した場合の(健康上の)ロスは大きいと言えます。

7.知覚リスクの区分(Solomon, Bamossy & Askegaard, 1999)

(1)金銭的リスクmonetary risk

金銭に関わるリスク(例、値段の高い商品)(詳細は前回の記事参照

(2)機能的リスクfunctional risk

機能的意味に関わるリスク(例、ハイテクで複雑な商品)

(3)物理的なリスクphysical risk

健康等に関わるリスク(例、薬、医療)

(4)社会的リスクsocial risk

自尊心に関わるリスク(例、服、宝飾品、車、家)

(5)心理的リスクpsychological risk

帰属・ステータスに関わるリスク(例、高価な贅沢品)

8.知覚リスクの程度と情報探索の程度

基本的には知覚リスクの程度が上がると情報探索の程度が上がります。つまり予想されるロス(例、金銭的、健康的、自尊心的ロス)が大きいほどより事前に多くの情報を消費者は集めます。

9.マーケティングへの応用

(1)区分

自社製品・サービスが知覚リスクの高いか低いかを判断することが重要です。

(2)知覚リスクが高い商品

重視すべきマーケティング情報はそれぞれのリスクのタイプによって異なると思われます。例えば、機能的リスクが高い商品に関しては情報量が多いため雑誌広告などの方が好ましいと思われます。一方、社会的・心理的リスクの大きい商品に関しては商品イメージが重要なのでテレビ広告の方が向いていると思われます。

更新は、心理学のお勉強(態度:Attitude No5)を明日に行う予定、消費者心理学(情報の探索No4)を明後日に行う予定 (多忙なため更新の頻度はいずれかの記事を毎日更新することに変更しています)

情報の探索(Information searchNo4紹介

消費者の購買前の情報探索について取り上げます。No4では過去の使用による満足度が情報検索の程度に与える程度について取り上げます。

心理学のお勉強(態度:Attitude No5)の紹介

精緻化見込みモデル(Elaboration likelihood modelELMを取り上げます。私見では、このモデルを理解しない限り消費者行動の理解はできないと思えるほど重要なモデルです。

《お願い》

皆さんの実例があると、わかりやすく内容も発展しますので、皆さんの実例やコメントをどんどんお待ちしています!!下記コメント欄からお気軽に書き込んでください。

主な参考論文

Peter,J.P., & Ryan,M.J. (1976). An investigation of perceived risk at the brand level. Journal of Marketing Research, 13, 184-188.

Solomon,M., Bamossy,G., & Askegaard,S. (1999). Consumer behaviour a European perspective. Essex: Person Education Limited.