心理学のお勉強(社会心理学)No19 :態度No2
心理学のお勉強(社会心理学)No19 :態度No2
今回は態度:Attitudesの第2回目です。物事に対して好き・嫌いなどの比較的持続する態度を形成し、その態度がその後の社会行動(消費行動など)に影響を及ぼします。今回はどのように態度が変容するかを説明する有力な理論であるバランス理論(balance theory)を紹介します。
1.バランス理論(balance theory)
(1)概念
人間にはバランスの整った状態を好む傾向があり、バランスが崩れた場合はバランスを修正する力が働くという理論(Heider, 1946, 1968, sited in Bohner, 2001)。例えば、パティがエリックを気に入っていて山登りに休暇を取って一緒に行くことを夢見ているとします。ここでパティ、エリック、パティのエリックの山登りへの態度(好き・嫌い)の予想の3者のバランスが取れる必要があります。エリック山登りが嫌いと想定する場合は3者のバランスが崩れます。その際は以下の手段がパティに考えられます。(a)パティも山登りが嫌いになる、(b)エリックに対する好意が薄れる、(c)パティはエリックが山登りを好きになるように説得する(Bohner, 2001)。
《応用》 いくつか質問をしますので皆さんも考えて下さい!!
(1)なぜ広告に有名人を使うのですか?
バランス理論は広告の有名人効果を説明する理論として知られています(e.g, Solomon, Bamossy & Askegaard, 1999)。資生堂の新製品TUBAKIにまるで興味のなかったA子さんを考えて下さい。A子さんは広末涼子さんに憧れているとします。憧れの広末涼子さんがTUBAKIのCMに出て宣伝しています。すると、A子さん、広末さん、TUBAKIの3者のバランスが崩れています。人間の性質としてバランスを改善させたいA子さんは(a)広末さんへの憧れが薄れる、(b)TUBAKIが好きになる、(c)広末さんがTUBAKIのCMへの出演を止めるという3つの方法によって気分が晴れます。この中で(c)の選択はA子さんのコントロール不能なことなので、通常は(a)広末さんへの憧れが薄れるか、(b)TUBAKIが好きになるかのどちらかの選択となります。それならばTUBAKIを好きになる傾向が強いと思われます。
(2)なぜ人は有名ブランドが欲しくなるのですか?
バランス理論は人が有名ブランドを欲しくなることを説明することもできます(e.g, Solomon, Bamossy & Askegaard, 1999)。Aさんはブランドにあまり興味がありません。大学生になって多くの友人ができました。大学生活にも慣れ始めた頃、友人の多くは有名ブランドのバッグを持ち歩き始めました。ここに3者のバランスが崩れています。Aさんにできるのは、(a)友人との関係を切る、(b)自分もブランドが好きになる、(c)友人がブランド嫌いになるという3つの方法です。
更新は、心理学のお勉強(態度:Attitude No3)を明日の午前中に行う予定。本編(情報の探索No2)の更新は本日お休みさせて下さい。更新は明日の夕方に行います。
情報の探索(Information search)No2紹介
消費者の購買前の情報探索について取り上げます。No2では値段と情報検索の程度の関係について詳細に取り上げます。
心理学のお勉強(態度:Attitude No3)の紹介
No3として態度の変化について取り上げます。マーケターにとって消費者の態度を変化させることは重要な概念です。
《お願い》
皆さんの実例があると、わかりやすく内容も発展しますので、皆さんの実例やコメントをどんどんお待ちしています!!下記コメント欄からお気軽に書き込んでください。
参考文献
Bohner,G. (2001). Attitudes, in Introduction to social psychology: A European Perspective Third edition, (ed) Hewstone,M. & Stroebe,W.
Solomon,M., Bamossy,G., & Askegaard,S. (1999). Consumer behaviour a European perspective.