3-1.リアル店舗からネット店舗へのシフト全体概観

現時点では、物販に関しては、ネットで購入する方がリアルの店舗で購入するよりかなり割安である場合がほとんどであるにもかかわらず、現時点ではまだ、逆転にはほど遠い状況です。しかし、この現象はそう長く続かないでしょう。近い将来には、ネットとリアルが逆転することも架空の話しではないのです。

1.ネットへのシフトを遅らせているワケ
「まだまだ、実店舗が存在するではないか。地上の店舗はなくならないのではないか」という意見も当然あります。しかし、地上の店舗を利用する大きな理由を分けてみると「ネットが確実に安いことを知らない人がいる」「なんとなく不安に思う層がいる」「パソコンや携帯でのwebが使えない人(デジタルデバイド者、超高齢者など)がいる」など今後希薄化していくものがあります。
また、今後も、少数ではあるものの「節約するという金銭感覚をもっていない人がいる」「安心や面倒はお金を払ってでも得たいと考える人がいる」などの理由もあります。
そして、宅配などで幾分かネットにシフトするものの、実店舗が存在しつづける理由をもつものもあります。たとえば以下のもの(時短/安価商品取り扱い店舗)などがそうです。
・コンビニ、生鮮食品スーパー等 : 今すぐに手に入らないと困るというもの(時短)や送料をかけるに値しない価格(安価)のものを扱う店舗。うまい儲けが続くかどうかは別として利用者からのニーズは続きます。
・遊びの空間としてのショッピングモール : 「イオンレイクタウン」とか「ららぽーと」といったタイプの大型ショッピングセンタは、大型化の競争で生き残りも厳しいものの利用者からのニーズは続きます。

2.ネットへのシフトは想像を超えた大きな波
おわかりのように、「時短/安価商品取り扱い店舗」以外の理由は完全には消えては無くならないけれども、急速に希薄化してしまうものです。当初は反対者もいたセルフサービス業態、「お客に自分で商品を選ばせ、自分でカゴに入れ。自分でレジに持って行かせ、自分で袋にいれされる傲慢な仕組み」と言われたセルフサービスという業態に対して違和感はもうすでにないのです。
特に、ナショナルブランド商品に関しては、「時短/安価商品取り扱い店舗」を除けば、小売りの輪の理論(固定費のより安い業態が最安値提供業態として輪の最下位に参入するという論理)からしても、そのシフトは理屈上必然でもあるのです。
 リアル店舗からネット店舗への変化の大きさを、過去の同様の例を挙げて例えるならば、「商店街が、スーパーマーケットにより消滅し、タバコ屋、米屋、酒屋、パン屋がコンビニエンスにとってかわられ、百貨店から、おもちゃ売り場、家電売り場、書店、紳士服売り場、家具屋、等々が、ロードサイド店あるいは専門大型店舗にシフトしていった」と同じような大きさの波なのです。

2-2.ナショナルブランド商品におけるネット上の競争概観
ここでは、商品をナショナルブランド商品とプライベートブランド商品に大きく分けて記述しています。ご承知のように、現実には商品はこのような単純なもので区別できるものではありません。すこし挙げるだけでも、最寄品/買回り品、耐久品/消耗品、ターゲット年齢別、ターゲットライフスタイル別商品等々もあります。いずれにしろ、こういったカテゴリで分類し分析したところで、実際のコンサルティングでは、ほとんど役に立ちません。具体的な商品を見て、その商品力を把握して初めて、解決の糸口や戦術が考え出せるものです。そこで、ここではある意味、大まかな目安または参考になることを意図して記載しています。

1).オークションサイトは複数存在する?
「時短/安価商品取り扱い店舗」を除けば、ナショナルブランド商品に関しては、リアル店舗の消滅だけでなくネット店舗間での淘汰が始まります。
 その最終的な姿は残酷なものです。既存のネット物販で例えるならば、ネットオークション業界におけるyahoo!オークションのような状態になります。ご存じのない方にわかりやすく説明するならば、オークションは山ほどあれども、実際に機能しているのは、yahoo!オークションだけであるというようなことがナショナルブランド商品の世界で起きるのはほぼ間違いありません。
 なぜ、yahoo!オークションが独占状態となり、競合から切り崩されないかというと、購入者側から見れば、そこには日本で一番多くの商品が揃っており、売り手からいうと、そこには一番多くの来客者がおり、一番高く売れる可能性があるからです。そこには自律的に加速するスパイラルが働いているからです。
2).ナショナルブランド商品における一人勝ちの構図
さて、「ナショナルブランド商品」におけるネットでの販売競争において優位にいると思われるのは、現時点では
アマゾンコム、楽天、yahoo!オークションなどがあげられるでしょう。
アマゾンコムも楽天も yahoo!オークションもすでに、新品と中古、さらには、業者と個人を混在させて出品を許しているので、中古と新品販売や個々の売り手を区別して業態を語る意味はあまりなくなっています。
 今後の各社の戦略によって競争構造の変化の可能性はまだまだあるのですが、現時点で優位にいる者を強いてあげるのであれば、アマゾンコムと思われます。
3).一人勝ちの予測根拠
なぜ、アマゾンコムかというと、それは個人出品や外部業者や個人販売者を取り込み品添えの豊富さではダントツにあります。検索エンジンでも商品名を検索すると必ずといってよいほど上位に表示されます。つまり、目的買いのために検索エンジンで入ってくる人は、そこでアマゾンコムをクリックするという構造がすでにできています。かつ、価格も最安値に近いものになっていますし、値下げも売れ行きに応じて頻繁に変更されています。その値下げ率をサーチするエンジンが普及しているくらいです。そして、さらに送料が安いという追い討ちをかける構造を備えています。つまり、売れ筋については自社に在庫を抱え、大量物量を盾に送料値引き交渉力を使った低コスト配送料、および翌日配送可能という配送速度の強みをもっています。特に個別損益は別としても1500円以上送料無料ということをうたうことができる物流センターとそのシステムを回転させているということ。それらのことを考慮すると現時点ではアマゾンコムが優位にあると考えるわけです。
もちろん、楽天も自社物流を整備するという判断をしたため、今後はこれらの競争は体力勝負となっていく様相を示し始めました。

2-3.プライベートブランド商品におけるネット上の競争概観

1).そこでしか購入できないOnlyOne商品の道
欲しい商品がそこでしか販売されていなければ、そこで購入するしかありません。非常に単純でわかりきった話です。特に、ネットの世界およびそこに大きな影響をうけるリアル店舗の世界では、これが生き残る王道なのです。プライベートブランド商品という意味には、OnlyOne商品(唯一無二)という意味よりはより多様な幅の広さをもっていますが、その中での究極を挙げると、このOnlyOne商品の道となります。今後、生き残りのために、メーカは元々そうですが、多くの小売も自社企画開発による唯一無二のOnlyOne商品をヒットさせることに向かって動き始めます。
その中で、実際に良い商品(口コミサイトで評判がよい、専門家からの評価が高いなど)が生き残ってゆきます。これまでのように多様な商品がそれなりに生き残っていくようなことではなく、極端に勝ち負けの商品がハッキリしてくるでしょう。現在では、まだまだ、そのような口コミサイトの存在を知る人が少なことと、それと商品購入時に、自動連動したり、サマリしたりするサービスが出現していないだけの話です。これまでのように、店頭で洗脳するような販売ではなく、顧客はすでに購入する商品を決め、値段のラインを決めてリアル店舗やネット店舗に来店することが当たり前のようになってきます。丁度、昔は車はセールスマンがセールストークや人間関係で販売していたものが、今では、ほとんどの購入者が事前に購入する車を決めてから来店するようになったのと同じような現象が起きるのです。
2).魑魅魍魎のOnlyOne商品も発生
そのためこれまでナショナルブランドを中心に扱っていた店舗は、これまでのナショナルブランド商品からプライベートブランド商品へと扱い商品を変化させてゆきます。現実には、中身は同じでも入れ物や商品名が違うものをメーカに求めるというような低次元のことも発生するでしょう。そういうまやかしのテクニックも派生させながら、広い分野でプライベートブランド化が急速に進みます。それらの商品が市場でヒットするかどうか以前に、その波に取り残されたところは、瞬く間に淘汰されていく可能性があるのです。
こういった世界では、今関心を集めているSEOやリスティング広告といった気づきの場所取り合戦では収まらない「商品力競争」、「商品ブランド競争」、「それを知らしめるマーケティング競争」のための激しい競争や工夫が生じてきます。この時のネットダイレクトマーケティング戦略は、現状の如何に店に集客するかといったことに中心となっているネットマーケティングのそれとは、別次元のものなのです。
3).価値を感じさせるセレクションブランドの道
言うまでもありませんが、全ての人が合理的かつ自主的に購買行動をするわけではありません。つまり、すべての人が、もっとも「安くて」「早くて」「安心できる」ということを自ら調べ、購買行動をとるわけではありません。それ以前にファッション小物や雑貨小物などに代表されるように、無数の商品が市場に溢れていて、合理的に選択すること自体が不可能なものも多くあります。そのため、ネットにしろ、その影響を受けるリアル店舗にしろ、なんらかの基準(品揃えのセンスやコンセプトなどの価値を感じさせるセレクションブランド)を購買者は求めてくる領域があります。それは、地上のショッピングモールにおいて各テナントが競っているものと類似したものです。それがネット上でも価値をもったセレクションブランドとして認識させるような競争が生じてくるわけです。
4).リアル店舗型のプライベートブランド店舗発想では通用しない
現在の大型ショッピングモールなどでもすでに、同じカテゴリ商品を扱う店舗間でも競合が生じていますが、それは店舗が集積することによる集客増加があるため、集客において協力し合う側面ももっています。
しかしながら、ネット上では、このような集積集客は期待できません。ダイレクトにそのセレクションブランド店舗へ直行してしまう可能性があります。
そこで、ネットダイレクトマーケティングでは、「同じカテゴリ商品のなかでも、あなたにとって価値のあるベストな商品をセレクトしているブランドですよ」ということを明確に知らしめるための工夫が必要になってきます。
それは、老舗ブランドを生かしたり、口コミのブランドを作り上げたり、カリスマによるセレクトショップを仕掛けたり、さまざまな手法が考えられます。
また、プライベートブランドでは一人勝ちにはなりません。規模が小さなネット店舗でも競争力があれば、生き残ってゆきます。しかし、そこに求められるのは大手のネット通信販売に求められるようなバックヤードサービスです。
そのニーズを埋めるバックヤードアウトソーシングサービスが今後多数出現してきます。そして、そのサービス競争による料金の低価格化が生じます。それにより、リアル店舗であっても、店舗自体での販売を続けながらもネットでの販売比率を増加させていきます。と言うのも、現在では、店頭での商品粗利率ではカタログ通販をやってもコストが合わないというのが現実ですが、バックヤードアウトソーシングサービスの低価格化によって、リアル店舗とネット店舗の同一価格が実現できるようになるからです。そのバックヤードを支援するアウトソーサーには、例えば、受注後の出荷ピッキングを含めた物流、サイズ不一致や好み不一致による返品返金交換、翌日お届け、無人有人コールセンタなど様々なものが出現してきます。

4). さいごに

いずれにしろ、冒頭にも述べたように、クライアントが狙う領域、商品、サービス、その市場にすでにどのようなレベルのビジネスが仕掛けられているのか、今後現れる恐ろしい競合は誰かなどをもとに話をしないと、大雑把な話になってしまうのは否めません。そこで、実際には、具体的な対象とベースに将来の予想、現在の競争状態を見て、何を仕掛けるのがベストなのかを個々の分野で個別に発想し、創出していく必要があります。
しかしながら、その大雑把な話としても重要なことがいくつかあります。
(1)もし、貴社が製造業者である場合、ダイレクトネットマーケティングの中で生き残るレベルのネット評価を起こせるインパクトマーケティング戦略を考えた商品開発のノウハウを、今から育成していかないと、本格的なダイレクトネットマーケティング時代には貴社の存続は危ういかも知れません。
(2)もし、貴社が小売りの場合、消費者の多くはネットを介して購入するようになります。2007年の商品小売売上高は概ね134兆円です。その多くがネットに流れてゆきます。そのとき、ネットマーケティングの世界の中で生き残っていくための戦略を今、準備していなければ、その変化の波にあっという間に飲み込まれ、多くの小売りが消えるように、貴社も消えていく可能性があります。
(3)もし、貴社が卸売業の場合、すでに生じているようにネット卸が巷に溢れています。2007年の年間商品販売額は410兆円です。小売りが134兆円なのにその3倍の数値なのです。それは、多段階だから出てくる金額です。卸には、元来、物流機能(集約分散)、補完機能、小分け機能、金融機能、中間加工機能、商品広告機能などがありましたが、現在は大手小売りチェーンの出現だけでなく、ネット卸の出現により、その役割は大きく変化してきましたし、今後は、さらに変化してゆきます。ダイレクトマーケティングの時代に貴社の存在理由を示すことが出来る戦略を、今、見いだすことができないのであれば、会社の存続は難しい可能性が高のです。
(4)もし、貴社がサービス業である場合、その認知はネットになり、それもネットでの口コミになります。高評価のための仕組みとネット評価のコントロールはもちろんのこと、他社と絶対的に差別化できるサービス戦略を今、設計士、準備しておかなければ、貴社の存続に影響するかも知れません。
(5)その他共通事項
1.これからは売り先は日本国内だけでは生き残れないこと。仕入れ先はもちろんのこと、売り先も英語圏だけでなく、全世界に対応できるネットワークを構築することは必須です。
2.新たなネット時代への投資は惜しんではなりません、なぜなら、これは貴社の売上の増減レベルの話ではなく、貴社の存続そのものをかかわる問題なのです。そして、その波は、想像を絶するスピードで押しよせてきます。そのため、今、すぐに、明日から、将来を予測し、そのための戦略を考え始めるチームをつくり、検討のための予算をつけて、すぐに検討されることを強く推奨します。今の企業の8割はこの大きな波で消えるかもしれないのです。


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