京の清水あたりに
”桜坂”があることに気づいた
ぼくも含めて坂を行き交う観光客は
通行の妨げになるのも忘れて立ち止まり、
誰もが見とれて歓声を上げ、
心ゆくまで眺めたり写真に納めたりして この景色を持ち帰ろうとしていた
ぼくは邪魔にならないように坂の端で
長いこと この枝垂れ桜を眺めていた
けれども いつまでたっても
ぼくの心は満たされることがなく…
桜の大好きなきみは、きっと喜んだことだろうな
一緒に来たら良かったな
そそっかしいきみがはしゃぎすぎて転ばないように
手をしっかりつないでね
だってこの”桜坂”は産寧坂、三年坂
転んだら三年以内に…
だからぼくがきみを いつもよりぎゅっとしてあげなきゃ
いつかこの”桜坂”で
ふたり満開の枝垂れ桜を見上げたい
春のようにあたたかく優しい刻が流れる中で



