今回は、メモ書き程度に古典電磁気学に生ずる制限と一般相対性理論についての面白い問題を記す。科学の理論は世界を理解する上で役立つため、よく知っておくことが必要である。
古典電磁気学でよく知られた問題が、粒子の自己エネルギーの問題である。一つの粒子が外部に生ずるポテンシャルは、静止した粒子ならクーロンの法則、ある既知の軌道の上を動くのであればリエナール・ヴィーヘルト・ポテンシャルで書かれる。いずれにしても観測点と粒子の距離を0に近づければ無限に発散する(ただし、特殊相対論の上でで、考えている時刻に粒子が静止している慣性系をとった場合、スカラー・ポテンシャルのみが発散し、ベクトル・ポテンシャルは0のままであることに注意。しかし、スカラー・ポテンシャルはいかなる慣性系をとっても同じ極限で無限に発散する)。素粒子が大きさを持たない点状の物質とみなせば、素粒子がその存在する点でのスカラー・ポテンシャルに電荷をかけて2で割っただけの自己ポテンシャルエネルギーを持たなければならないため、荷電粒子は必ず絶対値が無限の自己ポテンシャルエネルギーを持つことになる。これと質量から生ずるエネルギーの和である粒子の自己エネルギーが無限に発散することを回避するために、符号が逆の無限大の質量を加えてやることができる。しかし、それによって運動方程式に現れる質量を有限にとどめることができても、1個の荷電粒子の加速的運動に伴う放射の反作用を計算すれば粒子が自己加速し続けるという結果を生む。これは不条理であり、古典論における粒子の自己エネルギーという概念に問題のあることを示す。
一般相対性理論におけるアインシュタイン方程式は10個の独立な非線形偏微分方程式からなる(両辺とも4次元2階対称テンソルからなる)。電磁場がなくて質量だけがあるとき、これが場を決定するには10個の未知数が必要であり、計量テンソル(これら10個の成分の内、4個の座標に任意の変換をほどこせる)が6個、四元速度(4成分あるが内積をとると1になる)が3個、物質の密度または圧力が1個がその役割を担う。この場合、四元速度は場の量であることに注意しなけらばならない。これは場の方程式であるが、物質を含まない真空中でアインシュタイン方程式(リッチ・テンソルが0であることを示す)から測地線方程式を導けるかという問題が生ずる。最小作用の原理から両方程式は導かれるが、これらは相補的な関係にあるのか。それとも包含関係にあるのか。すでに解答済みの問題かもしれないが、たとえそうであったとしても面白い問題である。