ナタリー・ポートマンの「ブラック・スワン」を見て、、
エイム、29歳になりました。年をとった実感がまったくありません。いいことです。
お誕生日の最終イベントとして、映画を見に行きました。あまりにも衝撃的な映画で、本が一冊書けそうなくらい語れそうなので、映画についてとお誕生日について、2回にわけてアップしたいと思います。
つい最近、ナタリー・ポートマンがゴールデン・グローブで主演女優賞に輝きましたが、その彼女の迫真の演技で評価された「ブラック・スワン」を見てきました。
これ、男性よりも女性のほうがわかりやすく、バレエを習ったことのない人より習っていた人のほうが更に理解できる内容となっています。映画のリビューで 、
"layers of symbolism, psychosexual metaphors, and rich thematic undertones."
と書いてありましたが、まさにその通り。バレエ界というかなり独特な世界が誇張されて描かれていますが、自分の限界に挑戦するダンサーとその非人間的な生活に、最終的にやってくる精神の乱れというものがフロイトの理論をベースに、非現実的でありそうで、本当に現実味たっぷりに表現されていました。すごい映画です。
バレエとは、、、
エイムも17年間の間、バレエに人生を費やしてきました。ある意味一度始めると中毒になるもの。
客席から見るバレエは、軽やかできれいで、いかにも簡単そうに踊っているように見えますが、実際には、膨大なエネルギー、精神力、忍耐力が必要とされます。足のこうの曲がり方や、太ももの角度、腕の位置など、体のあらゆるところに神経を届かせなければならず、それプラス、顔の表情やアクセントのつけ方などが加わり、ステージの上での集中力は半端じゃありません。
そして、人間の生活のファンダメンタルな部分である「食」に対する楽しみが奪われます。体重に対する意識が大きすぎで、虚飾気味になったり、逆にすごい太ったりと、バレエを長くやる女の子なら一回は通過する、「美」との戦い。映画の中のナタリー・ポートマンは、折れそうなほど細い上に、背筋の伸び方や細い上にも軽く筋肉のついた腕などポイントをしっかりつかんでいて、下手に動かなければプロのバレリーナに見えるほどリアリスティックでした。
映画の内容、、、
バレエには4つの人間関係があり、その微妙な関係性が怖いほどにも上手に描かれていました。
1)母娘の二人三脚。
バレエ映画には、絶対にステージママがでてきます。一番の理解者で一番のサポーターで、一番のファンが、かつてバレリーナを夢見た母の存在。たぶんクラシック音楽の世界やフィギュアスケートなども同じだと思います。最初に話したとおり、ある意味中毒であって、親子でどっぷりはまってしまって、一緒に喜び、一緒に悲しみ、うまくいかなかったときのダメージはダブルでそうとうなもの。
映画では、白鳥の座を得たニーナ(ナタリー・ポートマン)がプレッシャーに押しつぶされそうになり、ストレスで背中に引っかき傷のようなアザが浮かび上がります。母として、白鳥の役をなんとか成功させてあげたいという気持ちとこのままでは自分の娘がダメになるという気持ちの葛藤が描かれていて、それでも自分の二の舞は踏んでほしくないとサポートし続ける姿が印象的でした。そして、それに答えようとするニーナ。そして反発と自立、たぶんバレエの世界だけではないかもしれません、、、。
エイムは、母と一緒に、あ~~あの世界から早くも出れて良かったね~~~とよく話します。
2)バレエディレクターとの関係
小さいローカルなバレエ教室でもバレエの先生は、学校の先生とはまた違った不思議な存在で、特別な人。バレエ団のディレクターならなおさら、その人のもつパワーは絶大なもの。ディレクターの注目を浴びるためにダンサーたちは、必死に輝こうとする。ディレクターがどのこを多く見てるとか、自分はどれくらい見られているとか、すごく気なるのです。
映画で、ディレクターは、白鳥の湖の悪役ロットバルトとでもあり王子でもある。ニーナは白鳥の役をとるために、ディレクターのセクシャルハラスメントを受け入れます。悪いことだとわかっていて、憎みながらも、憧れの存在でもあり、彼の"Little Princess"(映画を見ればわかる)になろうと、精神が追い込まれるまで、彼の求めるダンサーになろうとする。悲しいことに、とある男性が指揮するバレエ団では、こういったことが実際にあるようです。あめとむちのような関係で、麻痺してしまうんでしょうね、、、。ある意味、宗教と一緒かも、、、。こわい、こわい
3)ダンサー同士の関係
どのレベルのバレリーナにも、絶対に自分と肩を並べるライバルはつきもの。だいたい、自分がもっていないものを相手がもっていることが多い。でも、昔の少女マンガのように、本番前に衣装がめったぎりにされるなんてことは、めったにない、、、。というか聞いたことがない
映画では、ディレクターが、ニーナに、色気が足りない、小悪魔的な部分が全然ないと叱ります。バレエバカのほとんどの女の子は、恋する時間も友達と遊ぶ時間も削っているので、こういった部分をだせといわれても難しいことなのです。ニーナは、まじめで、悪いことは一回もしたことがないプリンセスタイプ。白鳥はできても黒鳥はできないと言われ続け、奮闘する。
そこで現れるのが彼女のライバル、リリー。彼女は、黒鳥の要素を備えた、ミステリアスで魅力的で、バレエをやりながらも器用に恋をして、人生を楽しむ、バレエ界にはまれな存在。ニーナは、彼女にライバル心を燃やしながらも、彼女のダークな世界に引き込まれ、次第に自分の中に潜める悪の部分を見出す。この悪とは、まさに嫉妬心、憎しみ、反発心などとして、現れます。
4)自分との戦い
バレエは、結局は、自分との戦いといいます。映画でも最後にディレクターが言う「自分に立ちはだかるものは、結局は自分自身」という言葉が印象に残りました。
そう、バレエのステージでは、まわりにたくさんのダンサーがいながらとても孤独で、とてつもないプレッシャーの中、何時間も踊り続ける精神をキープさせるために、自分のメンタルをコントロールしなくてはならない。ここが乱れると、踊りもはちゃめちゃになってしまう。
最後のシーンは、予想不可能な終わり方で、ショッキングでした。映画が終わった後、汗をびっしょりかくほど。バレエをサイコスリラーにするなんてすごいなーと思いました。
あーこわいこわい。早くにも抜けられてよかったーと思います
もちろん、いろんなことを犠牲にして、限界に挑戦するダンサーたちは、動く芸術品であって、それに対する尊敬は絶大です。でも、ギスギスに痩せたバレリーナたちにこの映画を見てほしいです。これが本当に得たいものなのかどうか。私は、ちょっとぽっちゃり気味でも、幸せそうなバレエダンサーのほうが好きです。やせなくていいよ~。
長い長い映画解説、わかっていただけたでしょうか。この独特の世界を知りたいという方。ナタリー・ポートマンの見事な演技が見たい方、どうぞ「ブラック・スワン」を見てみてください。
