大きいカップに入った彼のコーヒーも私のカフェオレもなくなって程なくして
「お店そろそろでようか。近くに公園あるから少し散歩する?」と仁さんが言った。
散歩に誘われるくらいには嫌われてはいない…いや彼は自分から好きにならないだけで特に理由もなく嫌ったりはしないか。
散歩に誘われるくらいには関心は持たれているのだと思ってほっとした。
並んで歩くと、彼の頭は私より一つ分くらい大きかった。180弱はあるのかな。
都会の真ん中にあるビルのネオンと車のライトで囲まれた公園で座った。
この頃には彼への理解が進み、横柄で冷たい奴という苦手意識はなくなっていた。
裏表なく思考と言動はシンプルで、遠慮や謙遜を相手にも全く求めない。
私は今日一番どころか、これまでサイトで出会った相手の中で一番リラックスしていた。
疑問に思ったことは直球で聞けばいい。自分の感想は素直に言えばいい。
相手が受け入れやすいように…なんて配慮しなくていい。
私が求めなければ、必死に口説かれることもなければ、ワンナイトを狙われることはない。
私は気楽だった。
もっと気楽になるために気になっていた質問をした。
「ところで、自分のことを求めてくれる人がいいと言っていたけれど、さすがにボーダーラインあると思うんだ。私はどうかな?」
「可愛いし綺麗だと思ってるよ。一緒にいて心地と思わなければすぐに帰ってるし。」
「たしかに、合わないと思う相手をいるより仕事してた方が有意義だと思うタイプだもんね。」
「よく理解している。笑」
私は彼の身体に寄り掛かった。それを支えるように彼も私の方に身体を寄せた。
「飲み物買おうか。それであっちの方のベンチに行こう。」
私たちは手をつないで公園の奥の方に進んで再び腰を下ろした。
さっきまでのベンチは大通りを臨んでいたけれど、ここは大通りを背にしている。目の前は遊具。夜の遊具に子どもはいない。
続