裸で十字架に磔にされて、ぐねっとした形の棒と豆粒を吸引する器具で散々昇天させられ、床を体液で汚しまくった。こんないじめられ方はこれが初めてだった。











SMマッチングサイトでマッチした彼と会おうと思ったのは、単に写真がかっこよさそうだったから。

目鼻立ちははっきりし、鼻の下に鬚を生やしていて、なんだか昔の俳優のような印象。



平日の仕事終わりにカフェで待ち合わせた。

待ち合わせ時刻の少し前、カフェには彼が先に着いていて、入って右手すぐの席にいると告げられた。



カフェに到着してすぐ右手の席を見た。黒いシャツを着て髭をたくわえた男が足を組んで携帯を見ていた。



この人だな!と思うと同時に横柄そうな態度に若干尻込みする。



私は、今までの彼氏も、マッチングサイトも、線の細そうな優男を選びがちだった。塩顔、もやしっこ。男っぽすぎる人は怖かった。今回珍しく違うタイプを選んでみたことにさっそく少し後悔しながら「お待たせして、すみません。都です。仁さんですか?」と声をかけた。



「そうです、こんばんわ。」と簡潔に彼は応えた。



特に笑顔も優しい言葉もなかった。

これまでの男なら、思っていたより美人がきたと顔が緩んでいたり、道大丈夫でしたか?とかお仕事お疲れ様とか、そういう言葉があるんだけど。私は彼のタイプじゃないのかな…そんな不安を感じてしまった。



「何頼みますか?僕はご飯食べてしまったけど、お腹空いてたら好きなもの食べて。」



本当はお腹が空いていたけれど、自分が彼のタイプではないかもしれないという不安にいたたまれず、そんな彼の前で一人ご飯をがっつり食べる気になれなくて、カフェオレだけ頼んだ。



店員が持ってきてくれたカフェオレのカップは大きかった。この量ならお腹も寂しくないなと思えたときにやっとちょっとほっとした。