遠隔操作機能付きの吸うやつを仕込まれたまま、ホテルに向かいながら、お散歩を続ける。
6.ゲーセンとコンビニ
いつリモコンのスイッチを押されてるのかビクビクしながら、街行く人々と通り過ぎる、あるいは、同じ方向に向かう人々を追い抜いたり抜かれたりする。
たぶん高揚していたんだと思う。
目の前に広がる街が滲んで見えた。
「そこのゲーセンに入ろう」
「ゲーセンなんて久しく行ってない」
「少し遊ぶだけだよ」
シバさんに連れられてフラフラ入っていく。
意外にも賑わっていて、インベーダーゲームのような台や格闘ゲームの機器は7割ほど埋まっていた。
店内で、何かのゲームする訳ではなく徘徊する。そして、一心にゲームに集中している人たちの後ろを通ったときに、リモコンのスイッチが入った。
思わず立ち止まって、彼を見上げる。
そこには嬉しそうな顔があった。
そのあとは、コンビニに向かい、このあとのホテルでの飲み物を調達することにした。
お酒を何本か手にとってレジへ向かう。
「都、これで買っておいて」
と、カードを渡された。
トイレでも行きたいのかなと思って何気なく了承する。
「袋はご入用ですか?」
と店員さんに聞かれたとき、シバさんがやりたかったことが分かった。
「は…ぃ。。」
消え入りそうな声で答え、頷くしかなかった。
すぐ後ろで見ていたらしい彼は、すぐに隣にきて、カードを私の手からとって支払いを済ませてくれた。
急に人前で与えられた振動は続いている。振動自体は外からは見えなくたって、私の顔は火照っている気がする。変に見られてないだろうかと不安になる。
それに、こんな遊びに付き合わされているなんて店員さんからすると迷惑でしかない…
気づかれないように努めることが、せめて私にできること。
店舗を出るまで振動は続いた。
私の精一杯のなんでもないフリは、うまくいったのかわからないまま。
続く