最近芥川賞が発表され、西村賢太という作家が受賞した。
彼の顔、報道される経歴を見たりインタビューを見たりするにつけ、中上健次を思い出す。
彼の本は、読むのには覚悟が要る。
何の屈託もなく育った人にとっては、ただの小説なのかも知れないが、私にとっては、読むことは苦痛を伴う作業なのだ。
自分が普段押し込めている見たくない考えたくない事を引きずり出され、目の前にかざし、その手で腸を抉られるような気持ちになる。
涙がとめどなく溢れ出る。
だから、何冊かの彼の本は、一度読んだきりで、二度開く勇気がなく、仕舞い込んである。
だからといって嫌いな訳ではない。
寧ろ愛しく、彼の苦悩にシンクロしてしまうほど近いものを感じている。
『苦役列車』
彼の本は、私の腸を抉ることが出来るのだろうか。